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降谷side

電話の相手は、ベルモットだった。


最近はあまり連絡をとっていなかったのに、どうして突然……?


自室で少し緩んでいた気をぐっと引き締める。





『バーボン、あなた、サングリアが逃げたってこと、知っているわよね?』


『ええ、あなたから聞きましたからね』




それがどうしました?と、不思議そうな声を出したが、ドキリと心臓が嫌な音を立てる。

なぜ彼女の話を……。




『彼女のこと、何か知っているんじゃない?』




ベルモットの声は少し低い。

確信を持っているのか、それともまだ探りを入れているところなのか……?

返答は慎重に選ばなければならない。




『僕が?なぜです?』



言っている意味がわからないとてもいいたげな声色で、相手の出方を待つ。


ベルモットは僕の声を聞くと、くすっと笑い声を漏らした。



『そう…、とぼけるつもりなのね。いいわ。明日の夜、ある場所に来てちょうだい。裏切り者のレッテルを貼られたくなければ、ね』



タッタッタッ……



玄関の方から足音が聞こえた。

雫が帰ってきたらしい。



……声を聞かれるとまずい。



俺は扉が開くと同時に、口に人差し指を当てて、雫に【喋るな】と合図をした。



雫が頷いたのを確認する。




『聞いてるの?都合の悪いことでもあるのかしら?』


『…いえ。大丈夫ですよ』


『……そう。じゃあ、詳細はメールで』


『ええ、わかりました。では』




失礼します、と電話を切る。




終わったと雫に告げると、険しい顔で大丈夫かと聞いてきた。



少し悩んだが、雫にはこのことを言わないことにした。



彼女はシェリーのことが好きだから、自分のことを組織が怪しみ出したと知ると、シェリーの元から、そして俺の元から離れよう、なんて考えかねない。



だから俺は笑って、問題ない、と雫の頭を撫でた。

ーーーーー


ベルモットからのメールを確認し、時間と場所を記憶して削除する。







せっかく明日の夜まで時間をくれたんだ。



あらゆる手を考え尽くしてやる。



欺くのは、得意なんでね。

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時雨(プロフ) - ロゼさん» こちらこそリクエストありがとうございました!楽しかったです。 (2019年4月2日 13時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - リウエスト書いて頂きありがとうございました。とても面白く出来上がっていて凄かったです。 (2019年4月2日 8時) (レス) id: 8878c6576c (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 匿名さん» 感想ありがとうございます。続きも書いてみましたので、楽しんでいただければとても嬉しいです!! (2019年3月29日 23時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 途中ではありますが読んでてすごくいい話で続きが楽しみです!リクエスト書いて頂き本当にありがとうございます! (2019年3月29日 0時) (レス) id: 24edc1aa4d (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - loveharuma0927さん» なるほど…。学校行事は思いつきませんでした!二人とも普段通りを装いながら内心はしゃいでそうですね…!面白そうなご提案ありがとうございます!もっとニヤニヤして頂けるように頑張ります! (2019年3月26日 21時) (レス) id: c6320779fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨 | 作成日時:2019年2月16日 8時

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