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10話 ページ10

(こ、れが……巨人…あんな、一瞬で………)

その時、Aの手が震えた。
人間を捌いてきたAにとって、巨人もきっも同じだろうと、侮っていた。実際に目の前にいると、恐ろしい。

咀嚼せずに飲み込んだ巨人が、A達訓練兵を見る。

「う、うわぁぁあ！！」

後ろにいた訓練兵が叫ぶ。

「お、落ち着いて！一旦引くよ！」

Aの指示にA含め３人の訓練兵が巨人から距離を取る。

(今までやってきた訓練なんて、まるで意味の無いことじゃないか…)

Aは追いかけてくる巨人から目を離さないようにしながら思い出す。

(じっとしてる模擬の巨人を削いだって、なんの意味もない)

予想外の行動をとる巨人に度肝を抜かれたAは唾を何度も飲み込んだ。一瞬でも気が抜けない。

ある程度距離を取ったかと思えば先程の12ｍの巨人が勢いよく飛んだ。


「！？」

ズドォンと大きな音と共に巨人が一気に近くなった。うああっと先を飛ぶ仲間が叫んでいる。

(くそ、いちいち叫ぶなよ気が散る)

Aは意を決した。
アンカーを逃げていた方向と直角の方向にワイヤを刺して横にずれる。

そしてタイミングを見計らって巨人ではなく巨人の後ろに回るように再びワイヤを刺す。
先程の行為から巨人に刺すとその指したワイヤーをこの巨人は掴む。

巨人は二人の訓練兵まっしぐらだ。

一気にワイヤーを巻き取る、そしてそのまま剣を交差させて巨人のうなじめがけて刃を振るった。

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