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8話 ページ8

着替えて外に出ると既に何名もの訓練兵が外にいる。

「A！」

「！ ロイド、ダン」

待機列を探しているとロイドとダンが来た。

「なぁ、立体機動装置身につけてって…」

ロイドが青ざめた顔で言う。ダンも冷や汗なのか、汗が額から頬へと伝っていた。

「…巨人、かな」

Aは落ち着いた声色で言った。
おそらく、どこかで壁が破壊されたのだろうか。

「これ…俺達が駆り出されるって……事だよな……」

いつも落ち着いているダンが声を震わせて言った。
Aは静かな声で

「多分…」

と告げる。

「うっ、そだろ……」

ロイドが膝をつく。ダンがロイドの背を撫でる。

「A、ロイド、ダン！」

ビートとリチェも集まった。
二人も不安と恐怖の表情で溢れている。
リチェに関しては、目が涙で濡れていた。

「全員そのままでいい！静粛に！」

上官が叫ぶ。ロイドはダンにより立たせられ、訓練兵団は全員背筋を伸ばして上官の方へと体を向ける。

「先ほど、クィンタ区の門が何者かによって爆破された！！」

どよめきが走る、人類の天敵である巨人を、人類がこの壁の内側に迎え入れようとしたのだ。

「詳しい事はクィンタ区の住人が避難し終えてからだ！！」

「お前たち訓練兵は中衛部！！」

「解散後配置された場へ急げ！！」

「みな！心して心臓を捧げよ！」

ハッ！

全員が右手拳を心臓に当て、敬礼をする。


上官の解散という言葉に、それぞれが動き出した。

「はは…まさか……こんな…」

ロイドは諦めたような、損失したような表情でぶつぶつと独り言をいう。
Aはそんなロイドの肩に手を置く。

「ロイド、大丈夫」

「ぅ……な、にが……」

「僕達は補給支援、情報伝達が主にやることだ、巨人に遭遇しても、戦わなければいい」

「…敵前逃亡は死罪だぞ…！」

「だからと言って巨人の餌になっても意味無いだろう」

Aの言葉にロイドはぐっと息を呑む。

「わかった…わかったよ……大丈夫だ、ごめん、取り乱した…」

「ん」

Aとロイドのやり取りに、他の3人も意を決める。
ビートが言葉を付け足す。

「5人で、また此処に帰ろう。帰ったら孤児院に挨拶しに行こう、それぞれの兵団の制服を着て」

「あぁ…」
「もちろんだ」
「うん、絶対に」

「……」

Aは無言で頷いた。

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