6話 ページ6
「俺とロイドはともかく、お前たち3人には憲兵団の選択肢があるな」
「そーそー、俺とダンはもう駐屯兵団にしようかなんて考えてんだけどさー」
調査兵団は怖いし。とビートは付け加える。ダンも同意のようだ。
「…俺は憲兵団にしようと思ってる」
ビートはさらりと答えた。
「憲兵団になった方が給料も上がるし、なによりシーナに行ける。それに、孤児院はいつも金銭に余裕が無いし」
ビートは孤児院の援助をしたいという理由で憲兵団に行きたいようだ。
「Aはどうする?」
ダンがずっと黙ってスープを飲んでいるAに問う。
Aはカチャリとスプーンをトレイに置いた。
「んー……まだ、決めてなくて」
「なら憲兵団にしておけよ、良い待遇だぜきっと」
ロイドは水の入ったコップ手でいじりながら言う。
「憲兵団、ねえ…」
Aは乗り気ではなさそうに復唱する。
「リチェはどうするんだ?」
「えっ、わ、わたしもまだ決まってない、かなぁ……」
リチェの目はうろうろと泳いでいる。
「ふーん、俺なら憲兵にいっちまうけどなあ……まぁ、念の為に言っておくけどさ、お前たち調査兵団だけはやめておけよ?あそこマジで死ぬらしい」
「ぁあ、あの壁外にでる兵団か」
「あそこ新兵でもすぐ外に出されるし、新兵が帰ってくるのは5割程度だってよ」
「5割って…半分も減っちゃうんだね」
「そ、だから俺とダンは駐屯兵団に悩む間もなく決めたよ」
な?とロイドはダンに同意を求める。ダンもふむといったように頷く。
「てかリチェもさ、憲兵団行けよ、駐屯兵団よりは絶対豊かだぞ?」
「うん、憲兵団でもいいかなって、私も思うけど…」
ロイドはもじもじとしたリチェにははーんと笑う。
「お前さ、Aと同じ兵科に行きてえんだろ」
「え!?いやそんなってわけでも、えっと…っ」
あからさまに動揺してるリチェにビート、ダン、ロイドは吹いた。
Aは「?」とよく分かってないような顔をしてリチェを見る。リチェは顔を真っ赤にして俯いていた。
「まぁ時間はある訳だし、二人ともゆっくり考えたらいいさ」
ビートの助け舟で話題を終わらせる。
うん、とリチェが困ったように笑いながら頷いた。
「そういえば」
と、ほかの4人は別の話題で盛り上がっている。
周りの兵達も厳しい訓練兵を終え、浮き足立ってざわざわといつもより騒がしい。
そんな中、一人上の空と言ったように、Aはスプーンでスープの中に浮いている豆を泳がせた。
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塩キャラメル(プロフ) - やし野さん» すみません!全然大丈夫です!! (2019年2月19日 22時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» その場のニュアンスで読んでいただけたら幸いです。無計画故の矛盾点が生じてしまい、申し訳ありません。詳しくは『Full 3』のお知らせにて記載しておりますので、宜しくお願いします。 (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - 塩キャラメルさん» 感想、ご指摘頂き感謝します、修正させて頂きました。本作品は制作途中で年代設定を変更しておりますので、正しくは100期卒業になります。また年代変更により今後も年齢、登場人物等の矛盾が複数発生していますが→ (2019年2月12日 1時) (レス) id: da4ca0ab74 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル(プロフ) - 初めまして〜!とっても面白いです!何と言っても設定が凄く好みです!!こんな僕がご指摘と言ってはあれなんですが、訓練兵解散式の時、第100期?かな。。次の時に102期になってなせんか? (2019年2月12日 0時) (レス) id: 1b9a60cb94 (このIDを非表示/違反報告)
やし野(プロフ) - ののさん» 初めまして!ののさんコメントありがとうございます。嬉しいお言葉までいただけてとても感激です…!!続編の方も何卒よろしくお願いします(*^_^*) (2017年12月24日 10時) (レス) id: f0cd2ef672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やし野 | 作成日時:2017年12月17日 13時