肆 ページ4
-山姥切国広side-
「ごめんね」
何故謝るんだ。あんたは悪くないだろうに。
そう言いたいのに、上手く舌が回らない。
『いや…』
「長義のことは私が怒っておきますから!国広さんは…って、なんてお呼びすればいいんでしょう?」
『…普通に国広でいい。だが兄弟と被ってしまうだろうか?』
兄弟がこの本丸に居るかはわからないが、もし居るのであれば、全員"国広"のため、被ってしまうかもしれない。
「いえ!彼らのことは、堀川、山伏と呼ばせて頂いているので。実はなんですけど、彼ら「兄弟が“山姥切”と呼ばれるとネガティヴになるかもしれないし、国広第一の傑作だから、兄弟のことを“国広”と呼んでくれないか」と頼んできたんですよ!美しい兄弟愛ですよねぇ!」
『は?』
そんなことが…。
『…写しの私ごときにそんな気を使うなど…。確かに山姥切国広は国広第一の傑作だが…政府にこのようにされてしまった私を見たら、軽蔑するだろうな』
あぁ、このひねくれた性格。
どんな自分でも変わらない。
本歌が私を嫌うのもわかる。
私も私が嫌だ。
本歌を思い出し、また震えてきて、気分も落ち込んできた。
「そんなことないです!皆、貴女が来てくれるのを待っていたんですよ!まぁ、確かに女の子だったことには驚いたけど…でも、ガールズトークとか出来るので、嬉しいです!これからよろしくお願いします、国広」
『!』
私を捉えた大きな目がキラキラと輝いている。
この審神者に対してまで疑心暗鬼になる必要は無い。
その目には純粋な善意、喜びがあった。
『…あぁ。がぁるずとぉく(?)というものはよくわからないし、写しの私には期待も何もしても意味は無いと思うが…。
私はあんたの刀だ。だから、あんたのことは、私が守る。それだけは、約束、する』
「!…嬉しいです。友達、ですね!」
この審神者は、私たち刀剣にとって大切な、絶対に守らなければいけない存在だ。
“国広”という名で呼ばれた時、何処かで“国広”が、私に言ってきた。
だから守ろうと決め、それを伝えたのだが…。
やめろ、そんな輝いた目で私を見るな。
141人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るるるんる - めちゃくちゃ好き… (2021年12月3日 17時) (レス) id: 3a1425707e (このIDを非表示/違反報告)
やよ - あの、はい、好きです(直球) (2021年10月25日 17時) (レス) @page5 id: f3622d769a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:甘冬 | 作成日時:2021年5月4日 11時