本歌(♂)と写し(♀)と (ページ3)

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参ページ3

-山姥切長義side-

『は？す、すまない？』

急に冷たい一言を言われても、刀の切っ先向けられても、彼は戸惑いつつもすぐ謝り、写しだということで自分を卑下し、布を深く被り直した。

あぁ、イラつく。

いくら女士だろうが、偽物くんは偽物くんか。

「…偽物くん。お前はやはり折れるべきだよ」

『…ぇ。ほ、本歌、何言って…？おい、その本体で一体何を…』

「お前は俺が折ってあげるよ！」

切っ先を向けていただけの刀を構え、偽物くんに振るう。

偽物くんは怯えはしたものの、何とかギリギリのところで受け止めた。

だが、練度の差が大きいため、俺が圧倒的に圧していた。

『っ!?本歌、やめっ…！』

刀をもう一度振り上げ、今度こそというところで振り下ろそうとした。

「"長義、やめなさい"！」

「っ…！主」

主が戻り、言霊で縛られた。

偽物くんは驚いたのか、腰を抜かしてその場に座り込んだ。

「長義、駄目ですよ！貴方の写しなのだから、ちゃんと仲良くしないと！あっ、ごめんね？大丈夫ですか、立てますか!?長義も手伝ってください！責任は私もですけど、貴方にもありますからね！」

言霊で縛られたことにより、少し冷静さを取り戻した。

自身を鞘に収めて、偽物くんの方を向く。

「…偽物くん、突然悪かったね。立てるかい？ほら、手を掴んで──」

偽物くんに手を差し伸べ、掴まるように言う。

だが、

『っ触るな！近づかないでくれ…』

「！」

拒まれた。それはもう、凄く。

何故拒まれたのか、そんなことはわかっている。

でもそんなことよりも、
──恐怖に染まった目で俺を捉え、怯えている偽物くんに驚き、俺はその場から動けなかった。