【実況者】本当の君。 (ページ3)

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真美の好きそうな酎ハイ缶と、おつまみをカゴに放り込んでいく。
ついでにお菓子をいくつか見繕って、最後に私が好きな紅茶のペットボトルを手に取ろうとした。
しかしそこには先客がいて、どうやら迷っているらしい。

パックの奴にしようかなぁ、微動だにしないし。

そう思って踵を返そうとした時、ぱちっと目が合ってしまった。
彼は私がペットボトルのコーナーを見ていたことに気付いたのだろう、緑茶のペットボトルを素早く手に取って会釈する様に頭を下げた。

「すみません。」
「あ、わざわざありがとうございます。」

私も慌てて頭を下げて、目当ての紅茶のペットボトルを手に入れた。
それからもう一度お礼の意味を込めて先客だった人に頭を下げて、レジに並ぶ。
すれ違う時に随分背の高い人だな、と思った。

コンビニを出て、ポケットが振動している事に気づく。
スマホには酔っ払いの友人の名前が表示されていた。

「なに？お酒なら今買ったよー？」
『もお、Aってばカードキー忘れたのー？電話してくれればいーのにー！』
「え？」

電話に出て、2人の声が重なった。
意識のはっきりしている私は聞き取れたが、泥酔中の真美は聞き取れなかったらしい。
真美の会話の奥で、インターホンの鳴る音がしている。
私はコンビニを出た所だから、もちろん私じゃ無い。
最悪な想像が頭をよぎり、足元から買ったばかりの袋の潰れる音がした。

『今開けるからまっててねぇ！』
「真美！それ私じゃないよ！開けないで！！」

耳元からスマホを離してしまっているのか、私の声が届かない。
助けなきゃ、と頭がいっぱいになってその場を駆け出した。
そんな私の後ろ姿に声をかけている人がいたことにも気づかずに。

普段運動しない私が走ってもたかが知れている。
それでも走らずにはいられなかった。
ホテルに着き、エレベーターに乗り込んで部屋がある階のボタンを押す。
閉めるボタンも押してドアが閉じそうになった時、凄い勢いで1人の人が飛び込んできた。
その勢いに思わず肩が跳ねるが、それよりも私は真美のことが心配だった。

扉が開いてすぐに飛び出した。
部屋はエレベーターのすぐ近くで、スマホカバーの裏に差し込んでおいたカードキーを抜き出した。
それを翳して、ドアを開け放つ。

目の前に広がる光景に、私の口の中で奥歯がギシリと嫌な音を立てた。