3 ページ9
最初のうちは、お店に着くなり休憩をもらうことすらあった。
それでも、潤さんも真由美さんも、嫌な顔一つせず迎え入れてくれた。
「来てくれてうれしい」なんて言葉も添えて。
.
『すいません、もう大丈夫です』
.
休憩室から厨房に顔を出すと、私のために白衣が用意されている。
真っ白でピンと糊のきいたそれは、私の気持ちを引き締める。
その上着を羽織り、エプロンをつけて、気持ちを仕事モードに切り替える。
.
「まだ大丈夫だよ？」
『いえ』
.
甘えてばかりはいられない。
それに、早くケーキ作りの手伝いをしたくて……
.
「じゃあ、イチゴタルト、手伝ってもらおう」
.
私が最初にさせてもらったのは、翔に作ったイチゴタルト。
いつも最初にこれをさせてくれるのは、きっと潤さんの優しさ。
.
「これ、潰してくれる？」
.
私の前に、たくさんのイチゴの入ったボールが置かれる。
ミキサーで一気に……っていうのもいいけれど、程よくイチゴの触感を残すために、手作業で行われる。それが潤さんのこだわり。
細かな作業を要求されないそれは、今の私でもできる。
.
「Aちゃん、力あるね」
.
クスクス、潤さんが笑う。
足を補うために、腕を鍛えている私は、普通の女の人より、ずっと力があると思う。
最近は、自分でも筋肉がついてきたと思ったりもする。
ちょっと女らしくなくて、残念な気もするけれど、それが私には必要だから。
.
『それだけが取り柄ですから』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1627人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とも(プロフ) - こんにちは。主人公ちゃんの気持ちはわかるけれど…やっぱり翔くんと…この先の人生を生きて欲しいと思ってしまいます。洋子さんと言う素敵なお友達に恵まれて勇気を貰えたと思うので…その勇気で翔くんと←しつこい(￣▽￣;) (2020年6月20日 11時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 翔くんはどうしてるんだろうなぁ。 (2020年6月12日 4時) (レス) id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまま - 実際問題、なんでこんなに優しいんだろうと思うような人っていますよねー！私もそろそろそんな境地に達しないととは思っていますがこれがなかなか。好きにやらせてくれる感の潤さん夫妻が目に見えるようです☆更新楽しみにしております♪ (2019年8月10日 9時) (レス) id: 6749c8d29b (このIDを非表示/違反報告)
なるちゃん(プロフ) - 更新再開ありがとうございます！ 泣きながら読みました〜〜 電車の中でなくてよかった(･･;) 続き楽しみにしています！ (2019年8月4日 9時) (レス) id: ed0a73ac99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sumika
| 作成日時：2019年7月11日 14時
