44「やったねくう! 家族が増えるよ!」空却「おいバカやめろ」 ページ44
月夜side
「僕さ、くーこーさんのおかげであのあとまあまあ楽しかったよ。中学卒業するまではきつかったけどさ」
「だからさ、最後はあんたと死にたいんだ」
「……あんときの、」
「思い出してくれた? ねえ、僕、頑張ったでしょ? もう、もう流石に楽になっていいでしょ? だって、ずっと、ひとりで生きてきたんだよ、ひとりで、幸せになれるようにがんばったんだ」
「つきよ、」
「知ってる? ミズクラゲってね、最後は溶けて消えちゃうんだ。きっと楽だよね、ねえ、どうやったらミズクラゲみたいに消えられるかな? どうやったら、楽になれるかな? ねえ、くーこーさん」
「僕、頑張ったでしょ?」
すっ、とくーこーさんの指が伸びてきて、僕の眼から溢れ落ちた涙をそっと拭った。
「ああ。よく頑張った。えれーじゃねーか。褒美にさ、ちょっと会わせたいやつが居んだよ。そいつと会ってそれでもひとりだと思うんなら、拙僧が一緒に溶けてやっていいぜ」
「え?」
**
Aside
「あ!! くう遅い!! 心配したっさ! 月夜くんも未成年がこんな時間までどこ行っとったと!?」
「え……あ……」
「わりいわりい、拙僧が連れ回してたんだ。許してやってくれ」
「え? なに、仲良くなったん? そりゃよかばってん……じゃあ次からもう少し早う帰ってきんしゃい」
「へーい。おらキヨ、メシ食い行くらしいぞ、て、……またか」
「月夜くん!?」
月夜くんは、ぽろぽろと涙を流していた。
「……あの、A、さん」
「どがんしたと……?」
「僕に、家族は、いますか」
「え……」
なんだか、誰かに似ている。
……ああなんだ、そうか。
簡単じゃないか。
くうと出会う前の、私、だ。
「居るよ。まず、九恩さん。そんで、もう私の意見言うてしまうと、私ん父さんと、くうと、それから私」
「え」
「A!?」
「Aさん?」
「くう、私ね、父さんと九恩さんの結婚認めることにした。だって九恩さんばり良か人なんやけん。楽しそうばいって。それに、月夜くんのこと、もっと知りたか」
私がそう言って笑みを向けると、くうは小さく笑った。
「ああ。いいと思うぜ。よかったなあキヨ!! 家族増えたじゃねーか!!」
「……うんっ!!」
……ばり仲良かじゃんなにがあった。
まあ、良きか。
「くーこーさんとAさんが結婚したら、僕くーこーさんとも家族だよね!? いつ結婚するの!?」
はい???
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作者名：紫 | 作成日時：2019年10月2日 0時
