40「(私にはくうが居たから、生きてこれた。これから先も。でも、月夜くんは?)」 ページ40
くうは珍しく抵抗できずに月夜くんに連れていかれ、父さんは自室でディナーをするお店を探し予約してくれるそうだ。
そして、私は。
「……久しぶり、おばあちゃん、おじいちゃん」
「Aさんが来てくださって、きっと喜んでいるわ。……なんて、私が言うのは烏滸がましいかしら」
「そんなこと、ないです」
「そういってもらえてうれしい。コーヒーで良かったかな?」
「はい、ありがとうございます」
お仏壇側の座敷に座り、息つく。
「なにから話しましょうか……、色々気になっているだろうけど」
「あの、月夜くんって……」
「月夜は、先ほど言ったように18歳。そして私が28歳。ちょうど10も離れていてね、親にも見放されていたから、私があの子を守らないとと思い大切にしてきました」
「10も……」
というか九恩さん三十路なの?
二十代前半に見えるのに……。
「あの子はね、精神はとても幼い、ただの子供なのです。しかし、知能指数が異常なほど高かった。けれど、それを本人はとてもコンプレックスに感じていましてね。周りの子と馬が合わずに居て……。そして、ここからが、私の過ちです」
コーヒーを一口飲むと、九恩さんはすっと目を細める。
……まるで野生の虎のようだ、と思った。
「私は、学費と住み処しか与えない父の変わりに、仕事をしていました。ちなみに、真琴さんと出会ったのは、その職場です」
「真琴さんと仕事を共にするに連れ、月夜のためだったことを忘れ、仕事に没頭してしまいました。そうして気付いたら、月夜をひとりぼっちにさせてしまいました」
月夜くんは、頭脳が良いことを隠さずに学校に通い続け、そしてあの紫藤家の息子であることで、
いじめを受けたらしい。
未遂にまで至ったそうだ。
ふと、それを聞いて浮かんだのは十四くんの姿だった。
41九恩「(我が儘で愚かな私を、どうかお許しください。私はこの先、月夜、真琴さん、そしてあのお二人に生涯を捧げます)」→←39九恩「少しは落ち着いて接することを覚えなさい」月夜「はいはいわかりましたよーっと。あ! くーこーさん!! パジャマ片付けますよ! 僕もポ○モン好きなんでおピカ様買おうかな!!」
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作者名：紫 | 作成日時：2019年10月2日 0時
