量 産 型 ぽ た く 【 うらたぬき 】

とぅえんてぃ ページ21

えっとえっと、こういう時はどうするんだっけ。

前こころに聞いたのは近づかない、目を合わせないこと。

いや全然だめじゃん！余裕で近づいてるしなんなら目の前にいるわ！めっちゃ至近距離で目合わせてる！！


これはだめだから、えっと、

あ！あゆみに聞いた相手にしないだ！！

何も知らないふり、普通に断ること！よし！！

｢ごめんなさい、待ち合わせしてるので。｣

｢誰とですか？｣

｢えっ...と、｣

誰とってなんて答えればいいの？お友達でもないし...彼氏、でもない。どうしよう。


｢？...お友達かなんかですか？｣

｢あっいや、えっと、...その、好きな人、です。｣

｢えー、ピュア！お姉さん真っ赤になっちゃってますよ、かわいいなぁ。｣
｢いいじゃないですか。その人じゃなくて今日は俺とデートしましょうよ？｣

甘い声の誘い文句と、伸ばされる手。

嘘でしょ、ちゃんと断ってるよ！何がだめなのよ！！

ぎゅっと目を瞑った、その時だった。


｢ごめんなさい、この子知り合いなんです。｣

はんなりとした京都弁に、聞き慣れた声。

大好きな人と同じグループ、の、


｢センラ、さん｣

小さく呟くと、こっちを見てふわりと笑った。


｢あ、待ち合わせのお兄さんですか？今日は俺に譲ってくれません？知り合いなんですよ。｣

違うと言いかけたところを、センラさんに止められた。

｢はは、さっきから会話聞いてましたけどとてもそうとは思えませんわ。｣

｢いや、照れてるだけですよ。なあ？｣

嫌になって思わず目をそらす。

｢嫌がってはりますけど。早く帰っていただけます？｣

｢っち、せっかくの上物だったのに...。タイミングわりぃな。｣

舌打ちをして去っていく。

思わず腰が抜けた。


｢っわ、Aめろちゃん大丈夫？｣

｢だいじょぶ、です。ご迷惑おかけしてすみません。｣

｢全然大丈夫やで、むしろこっちが突然申し訳ないわ。いつ助けに入ろうかタイミング見てたんよ。｣

｢ありがとうございます。センラさんが来てなかったら本当に大変なことになってました。｣

お役に立てて何よりやわ、と笑うセンラさん。笑顔が尊い。

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