佰肆拾参 ページ43
月彦さん。
ノートの隅に字を書いて急いで消す。
だけどまた、今度は丸々とした字で月彦さんと書いてみる。
ついでにハートも付けてみる。
「…」
恥ずかしくて急いで消しゴムで消す。
月彦さんに助けて貰ってから一週間。
私は月彦さんに恋をしてしまったと思う。
この胸の高鳴りは抑えられるものでもないし、頭の中では月彦さんに助けてもらったあの姿ばかり考えてしまう。
彼女とか奥さんとかいるのかな。
歳はもう30代ぐらいだし、居てもおかしくないか。
私は意外と歳上の人を好きになってしまうようだ。
確かに今まで誰にも心を動かされなかった。
少しだけ動かされたのは炭治郎君だったけど。
月彦さん。
名前の通り綺麗な人だ。
黒いコートを羽織っていて、綺麗な瞳で。
「はぁぁ……」
窓の外を見ると、
学園内でも有名な結婚しているカップル、
素山狛治先輩と素山恋雪ちゃんが仲良く歩いていた。
あぁ、いいな。結婚していて。
狛治先輩は私に気づいたのか、軽く手を振ってくれる。
私も軽く手を振り返した。
狛治先輩は私が入学してからとっても良くしてくれた先輩である。
風邪を引くと、異様に心配してくれて、本当にいい先輩だ。
気分転換に廊下を歩く。
「ヒィィィ!!」
「あ、廊下を這いずり回っている老人さん!」
話しかけるとヒィヒィ言われる。
おでこが腫れているけど、大丈夫なのだろうか。
「Aさん、この資料、生物室に届けて来てくれないかしら」
先生に言われて、ブラブラする予定だったが、生物室に向かった。
「明日から新しい先生が赴任してくるんだよね〜、誰だろう」
生物室にプリントを置いて、出ようとすると、壺が動き出した。
「あ!キメツ学園怪談の一つ!マウンティングしてくる壺!」
私は壺を持ち上げて振ってみる。
「おーい!出てこーい!おーい!」
「ヒョッ…これは……A様?」
「え?」
私の名前を知っているの?
「ヒョッ、ヒョッ、ヒョッ……知っていますとも!大正時代の頃ですかな!!」
「え、た、大正時代〜!?何言ってるの壺さん」
「嘘ではございませぬ!!もしや、A様、前世の記憶がおありでない?」
「何?前世の記憶って。壺さんって変な事言うね」
また振るとヒョッ〜!!と叫ばれる。
「あのお方とはお会いされていないのですか?」
「……あの方?」
そう聞き返すと、昼休みの終わりを告げる鐘が鳴った。
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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