検索窓
今日:43 hit、昨日:38 hit、合計:223,650 hit

佰参拾捌 ページ38

どれぐらい一人で暗闇の中にいたのだろうか。



「Aちゃん!?そんな所で座っちゃダメよっ!行きましょう?」
「Aさん」
「A、何故そんな所に座っているんだ、お前は変わっている」

みんな私に優しくしてくれた人達だ。

「炭治郎君……」

「炭治郎君は大丈夫よ!無事に無惨を倒す事が出来たわっ!」
「そうですよ、Aさん。もう行きましょう。私達と」



「無惨…?」



『A』


私は立ち上がり走り出した。



忘れてた、あんなに好きな方の名前だったのに、まるで意図的に忘れさせられているような感覚だった。

早く、早く、無惨さんの元へ!!

この記憶が無くなってしまう前に。






藤の花からどんどん離れていく。
優しいあの人達は悲しそうな目で私を見つめていた。



暗い闇をかき分けて、どんどん真っ暗の世界へ進んでいく。



「無惨さんっ!」





その時ふわりと目の前に何かが現れた。
白髪の男が私の目の前に倒れた。


「…大丈夫ですか?」


そっと手を伸ばすと、男が顔を上げた。


「…無惨さん?」

そう呟くと、無惨さんは目を見開いた。




「あぁ、まただ、またAが出てくる……!地獄まで私を苦しめるつもりか……!」

無惨さんは髪が長く、服ももう着ておらず、身体に口がくっついていた。


「もうやめてくれ……Aを出すのだけはやめてくれ……!」

無惨さんは恐れるように私を見ていた。





「無惨さん、私です、Aですよ…?」
「もうやめてくれ……」


無惨さん



私は優しく無惨さんを抱きしめた。



「…本当に…Aなのか?」
「はいっ。無惨さん、ずっとずっと待ってましたよ」


長かったような気がする。



「A」


無惨さんは改めて私の顔を見た後、強く抱き締めた。


「はい?」
「お前はあの藤の花の向こうに行くんだ。いいな?」
「嫌です、私は無惨さんと一緒にいます」

無惨さんは目を丸くして驚くが、何度もダメだとつぶやく。



「私と一緒なんて___A、お前はダメだ」


無惨さんはフルフルと頭を振る。
白髪の髪がサラサラと揺れる。



「私は無惨さんと離れたくありません…もし貴方が地獄に堕ちるなら私も一緒にお供させてください」


私も無惨さんの味方についていたのだ。




「童磨さん達とは会えませんでしたが無惨さんとは会えました。なので、どうか…お供させてください。無惨さん」


無惨さんはポロポロと涙を流し、また強く強く私を抱きしめた。

佰参拾玖→←佰参拾漆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (518 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
806人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年5月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。