佰参 ページ3
「お嬢さん、そこの青のワンピースを着ていらっしゃる綺麗なお嬢さん。」
青のワンピース……。私の事だろうか。
ゆっくり振り返って見ると、花束を持っている男性が立っている。
「…私でしょうか。」
「はい。少し、お時間よろしいでしょうか?」
「あ…はい。」
***
私は男性に連れられて、甘味処でぜんざいを食べる。
「ふふ。お嬢さんはここの甘味処がお気に召されましたか?」
「…美味しいです。」
「それは良かったです。」
男性はふわりと微笑む。
この物腰柔らかな男性は一体誰だろう。
「失礼ですが、お嬢さんの御家族は?」
「……。」
この男性、痛い所を突いてくる。
なんで急に家族の話を……
「…あなたは誰なんですか…急にそんな事…」
「あぁ…つい先走ってしまいました。…私は、松山 弘と申します。この近くの醤油屋、松屋を営んでおります。」
「…松山さん。どうして私に話し掛けられたのですか?」
松屋…あのとても大きいあの店か。
「……お嬢さんがね、私の若い頃の母に似ているのです。もしかしたらお嬢さん、貴女は私の…い」
グンッと重いものが身体の中に入っていく。気持ちわるい。
「……やめて…。ひ、人違いです。」
「…そうですよね。」
松山さんはその話はやめて、花束を私に差し出した。
「花はお嫌いですか?」
「…あ、いえ…」
「良かったです。受け取って貰えませんか?」
「えっ…?」
「私の話を聞いてくれたお礼です。」
「あ…」
「では、これで。またお会いしましょう。」
スっと、私の両手に彼は花束を乗せて、甘味処にお金を払って出ていかれた。
「お礼…」
話を聞いただけで…花束を…。
***
「ただいま戻りました。」
花束を抱えて帰れば、鳴女さんの驚いた声が聞こえた。
「A様、その花束は一体……」
「貰った!」
「…なんと…」
鳴女さんは少しオロオロしていた。
「…鳴女、なんだ、騒がし…?Aか。」
「あ、猗窩座さん!」
「これは、あの御方からか?」
「ううん。街で貰った。」
「…そうか。」
猗窩座さんは少し目をパチパチさせた後、口を開いた。
「まさか、男性…」
「うん。話を聞いてくれたお礼…って。」
「成程。」
「猗窩座さん、どうしたの?固まってるよ?」
「いや、まさかAが花を貰うとは…荒れるな。」
荒れる?
「え、なんで?」
「戻ったぞ。…A…?」
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丸(プロフ) - へなさん» へな様…!今更だなんて!そんなそんな!素敵すぎるというお優しいお言葉…!拙い文にも関わらずそう言っていただけて本当に胸いっぱいです(*´-`*)長い物語でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました! (3月25日 1時) (レス) id: fe9b371b01 (このIDを非表示/違反報告)
へな - 今更ですが素敵すぎました! (3月24日 8時) (レス) @page50 id: 6adab414b4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - ふわるさん» ふわる様、返信が遅くなってしまい申し訳ございません…!!そう言っていただけて光栄です〜!!(;▽;)そんなに褒めていただけてもう心中、喜びパラダイス状態です!!私も素敵な読者さまからコメントしていただけて幸せです〜!!ありがとうございます!! (8月26日 14時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
ふわる(プロフ) - 面白かったです!泣きました笑!なんでこんな良い作品が思いつくんですか!!!この作品に出会えてよかったです! (8月24日 1時) (レス) @page50 id: ca3f3ad930 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あやめさん» あやめ様!そんなに褒めてくださるなんて…!ありがとうございます〜!!m(_ _)m無惨様をさらに好きになるきっかけを作る事ができて感無量です。゚(゚´Д`゚)゚。あやめ様の褒め褒め言葉に私はHPが急激に回復いたしました!!素敵なコメントありがとうございました!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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