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伍拾漆 ページ7

「この主人公……ふふっ面白いなぁ。」


もう寝なきゃって分かっているのに。
ここの部屋は夜でもオレンジ色の光で明るいから本が読めてしまう。

文字を読む、書くのはお父さんに教えてもらった為できた。
捨て子の私でもここまでの知識があるのは本当にお父さんのおかげ。
お父さんが少ない給料を少しずつ貯めて買ってくれた言葉の本のおかげだ。覚えたらすぐに売られてしまったけれど。


「ふふっ、なんでそうなるの…あはは……」


小さな声で笑う。無限城だったら大声で笑えちゃうけど、今はダメだ。


「Aちゃん〜?」

「!?…童磨さん」


襖を開けられて童磨さんが入ってきた。


「笑い声聞こえて、驚いたよ。みんなはもう寝てるのにさ。」

「ごめんなさい…」

「いいよ、いいよ、謝らなくて。……ところで何読んでるの?」

「勝手にそこの棚に置いてあるやつ読んじゃってて……」

そっと本の表紙を見せる。


「へぇ〜?面白そうだねぇ。」

童磨さんはふふっと目を細めて笑った。


「主人公が本当に面白くて、主人公の幼馴染みが必死なのも面白い!」

「ふぅん?」

「あ、でもね、ここ。ここの文……なんか幼馴染みと凄く同じ気持ちになったの。」


【あの男が奴の隣に居るのを想像しただけで胸が痛い。】


「これを嫉妬っていうらしいの。」

「嫉妬……つまりAちゃんは誰かに嫉妬しちゃったわけだ。」

「うん。あのモヤモヤの感情は嫉妬だったって分かったんだ。」

「へ〜?誰に嫉妬したんだろ。気になるなぁ?」


ふふっ、と笑う童磨さんを布団から追い出す。


「それは秘密だよ〜」

「わぁー、Aちゃん冷たーい。」

「明日、無惨さんに謝らなくっちゃ。」

「うん。そうだね。あの御方も喜ぶよ。」


童磨さんは優しく笑った後、立ち上がって、部屋の明かりを消した。


「今度はちゃんと寝るんだよー?」


「はーい。」


私は本に紙を挟んで、枕元に置いて寝た。

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秋栄 - 李由華さん» おぉぉぉ!ありがとうございます!!続編は明日の0時ぐらいには出せればなと思っております!!深夜12時ぐらいにここに来ていただけたら、多分続編行けるはずです!!しっかりと期限までに出来るように努めてまいります!コメントありがとうございました! (2020年5月3日 13時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - 続編制作頑張ってください! (2020年5月2日 21時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - 鬼小夜千夢さん» アニメOPでも、少ししか映らないのにカッコ良さは際立って…もう無惨様は美しくカッコイイですよね!この作品でそう思っていただけたのなら光栄です! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - ひろかさん» 鳴女ちゃん本当に可愛いですよねっ(*´▽`*)私も大好きなんです! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
鬼小夜千夢 - 無、無惨様!死にそうなぐらいかっこいいし……あぁもう死にそう(//∇//) (2020年4月29日 17時) (レス) id: 998332dba8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月28日 23時

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