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玖拾陸 ページ46

「…A…外に出掛けるのか。」


帽子を被り、靴を履けば後ろから声をかけられ、心臓が飛び出しそうになる。



「……こ、黒死牟さん…驚かさないでよ…びっくりした〜」

心臓の辺りを押さえ、ふぅと息を吐く。

「うん。外に行ってね団子食べに行くの。あ、黒死牟さんの分も買ってくるね。一緒に食べよ?」

「…私は………」


黒死牟さんはそう言いかけて固まった。



「黒死牟さん…?」

「……あぁ。共に…食べよう。」


「良かった!じゃあ行ってくっ…えぇ!?黒死牟さん?」


急にグッと抱きしめられて正直に言うとめちゃくちゃ痛い。
力が、力が強すぎる。骨折れる。


「あっ……」


息が吸えない。苦しいっ!!苦しい!!死ぬ、死んでしまう!!

まだ、ここでは死ねないのに



「……A、私の……気持ちは…どうする……」

大変だ、息が吸えない。息が吸えない。息が吸えない!!

「こっ…グッ…」

「…私の…気持ちは…」

あぁ…痛い、全身が、


骨が悲鳴をあげ、肺が潰れるような…息を吸えない。
頭の中はグルグル周り、もう何も……何も考えられない。息ができない。ただそれだけ。




「上弦の壱様!!A様が!!A様が死んでしまいます!!」


ベンッと琵琶の音が聞こえると、




「わぁぁ!!!黒死牟殿〜!!殺しちゃダメだよ!!」


童磨さんの声が聞こえた瞬間、


「っぁぁ……はぁっ…はぁっ…」


床に倒れ込む。


それをジッと見つめる黒死牟さん。


「ちょ、Aちゃん大丈夫〜?」

「はぁっ、…息がぁ、あ、はぁっ、あっ……」


解放されたのに上手く息が吸えない。苦しくて苦しくて、吸おうとしても吸えない。





「Aちゃん。」


ふわりと優しい声がした。


「大丈夫。息をゆっくり吐く事に集中して。」


童磨さんは、私の背中をゆっくり撫でてくれた。


「大丈夫さ。」

「はぁー……はぁー。」


「良い子、良い子。良く出来ました。」

童磨さんに優しく頭を撫でられて、呼吸が落ち着いた。


「どう…ま…さ。」


涙が出てきてしまった。全身が痛くて起き上がれない。



「黒死牟殿。こんな事するならもうAちゃんに触れないでよ。」


冷たい声がした。
いつもは明るい童磨さんの声ではなかった。


「抑えられないなんて論外だよ。」

「……すまない…」

「Aちゃんの骨折れてたらあの御方に殺されるよ。」

「……骨は折れていない……はずだ。」



黒死牟さんは悲しそうに目を細めた。

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秋栄 - 李由華さん» おぉぉぉ!ありがとうございます!!続編は明日の0時ぐらいには出せればなと思っております!!深夜12時ぐらいにここに来ていただけたら、多分続編行けるはずです!!しっかりと期限までに出来るように努めてまいります!コメントありがとうございました! (2020年5月3日 13時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - 続編制作頑張ってください! (2020年5月2日 21時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - 鬼小夜千夢さん» アニメOPでも、少ししか映らないのにカッコ良さは際立って…もう無惨様は美しくカッコイイですよね!この作品でそう思っていただけたのなら光栄です! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - ひろかさん» 鳴女ちゃん本当に可愛いですよねっ(*´▽`*)私も大好きなんです! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
鬼小夜千夢 - 無、無惨様!死にそうなぐらいかっこいいし……あぁもう死にそう(//∇//) (2020年4月29日 17時) (レス) id: 998332dba8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月28日 23時

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