漆拾伍 ページ25
夜。その日は月が出ない新月と呼ばれる日だった。
「…」
小さな家に私は一人。
家のない私にお館様が与えてくれた。
私一人にしては少し広い気がする。申し訳ない……。
私は薬草集め……胡蝶さんの元で働いている。
「…本……。」
返しに行かなければと思うけど……
鬼さんに会いに行くのは……
「大丈夫……大丈夫……私はこれからここでちゃんと暮らして……人間に…人間になるんだ……」
数週間、悩んで悩んでたどり着いた答え。
無惨さんと関わらずに生きよう。鬼さんと関わらないで、ここで薬草集めして、怪我した人達を救って、ちゃんと生きよう。
そう思っても、頭では思っていても。
「…。」
会いたい。
無惨さんに会いたい。黒死牟さん、童磨さん、猗窩座さん…半天狗さんに玉壺さん……
堕姫ちゃん、妓夫太郎さん
鳴女さんにも……みんなに会いたい。あって、腕相撲したり、絵を描いたり、遊びたい…
「……あぁ……中途半端…」
無惨さんっ……あなたが私のお父さんを殺した。
だけど……私は嫌いになんてなれなかった。
嫌いになれたらきっと私は鬼殺隊に入って貴方を倒そうと決意したと思う。
だけど、
嫌いになんてなれなかった。
無惨さんが優しく抱きしめてくれた事、頭を撫でてくれたこと、高い高いをしてくれたこと……これは紛れもない事実で。
無惨さんは本当に私を大切にしてくれていたと思う。
それが分かっているから余計に私を悩ませ、心を乱される。
そして無惨さんに対するこの感情は……
本を抱きしめながら、ゆっくり目を閉じる。
「無惨さんが好きなんだ……。」
恋愛感情の好き。
無惨さんの抱いている好きは、恋愛感情なのか分からないが。
私は無惨さんが好きなんだ。
会いたい。
一言。鳴女さんって……呼べば
「な…」
「…それ以上喋るな。」
いつの間に口元に手を当てられる。
誰も居ないはずなのに。目を見開くと、青い瞳が私を映す。
「……お前は人間だ。鬼の所になんて行こうと考えるな。」
何もかも見透かされているようでドキッとする。
「俺は…お前が鬼の所へ行きここの場所を伝えれば、人間であろうとお前を斬る。」
「……」
「……お前は人間として生きるべきだ…。」
冨岡さんはそっと手を離し、懐から何かを取り出した。
「…A、受け取れ。」
「…ありがとうございます」
手渡されたのは
…おはぎだった。
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秋栄 - 李由華さん» おぉぉぉ!ありがとうございます!!続編は明日の0時ぐらいには出せればなと思っております!!深夜12時ぐらいにここに来ていただけたら、多分続編行けるはずです!!しっかりと期限までに出来るように努めてまいります!コメントありがとうございました! (2020年5月3日 13時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - 続編制作頑張ってください! (2020年5月2日 21時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - 鬼小夜千夢さん» アニメOPでも、少ししか映らないのにカッコ良さは際立って…もう無惨様は美しくカッコイイですよね!この作品でそう思っていただけたのなら光栄です! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - ひろかさん» 鳴女ちゃん本当に可愛いですよねっ(*´▽`*)私も大好きなんです! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
鬼小夜千夢 - 無、無惨様!死にそうなぐらいかっこいいし……あぁもう死にそう(//∇//) (2020年4月29日 17時) (レス) id: 998332dba8 (このIDを非表示/違反報告)
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