漆拾壱 ページ21
「はい、これで終わりです。」
胡蝶さんにまた丁寧に包帯を巻いてもらい、私は立ち上がる。
「首以外には傷はありませんか?」
私はそっとスカートを持ち上げた。
「……足も……ですか。」
「…私がダメな人間だからです…」
「Aさん、あなた鬼舞辻無惨から何をされているのですか……。殺されずに生かされている人間なんて聞いた事ありません。」
「…何と言われても…ですね。…最初は…私の父親代わり…でしたが…この頃の無惨さんはよく分かりません…。」
私のお父さんを殺したのは…無惨さんなのだから。
「Aさん…父親代わりならAさんを傷つけたりはしませんよ。こんなに足も……」
胡蝶さんは顔しかめる。
「…」
今、無惨さんは私を捜しているのだろうか。
もしそうだとしたら……早く鳴女さんを呼んで…
「Aさん。」
胡蝶さんに顔を近づけられ、固まる。
「鬼舞辻無惨の所に次行けば、貴女は二度と外に出されないと思いますよ。」
「え…?」
「貴女、執着されているんですよ。」
「……執着…?」
「鬼舞辻無惨の事ですから、Aさんが鬼殺隊と接触したと考えているでしょう。鬼殺隊は鬼舞辻無惨を倒す為の集まりです。Aさんに自分の知られたくない事を全て言われると考える。そうすればもう後は簡単です。」
「……簡単…。」
「貴女の居場所を捜し出し、見つけたら鬼殺隊の言ったことを信じるな的な事を言われるでしょうね。そして、信じなければ貴女を閉じ込めるか何かするのでは?」
閉じ込める……?
確かに一度無惨さんを怒らせた時、外に出させてもらえなかった。
「…」
「…心当たりあるようですね。もう既に一回閉じ込められた感じでしょうか?」
胡蝶さんは綺麗な紫色の瞳を細める。
「……私は…どうすれば……良いのでしょうか……。」
胸が痛い。痛くて苦しくて、頭がグルグルして目の前もクラクラしてくる。
「鬼舞辻無惨に会わなければ良いのです。貴女が一緒に暮らしていくのは鬼ではなく、私達人間です。」
「……人間……。」
「大丈夫ですよ。Aさん。」
胡蝶さんは優しく微笑む。
「ここの人間は貴女が今まで会ってきた悪い人間はいませんよ。」
「っ……。」
「Aさんは、竈門君含め3人以外には心を開いていないみたいだったので。人間に何かされたのでしょう。」
「…私は汚いですか……?ボロボロの服を着ていたら…。」
そっと聞けば、彼女は目を見開いた後クスクス笑った。
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秋栄 - 李由華さん» おぉぉぉ!ありがとうございます!!続編は明日の0時ぐらいには出せればなと思っております!!深夜12時ぐらいにここに来ていただけたら、多分続編行けるはずです!!しっかりと期限までに出来るように努めてまいります!コメントありがとうございました! (2020年5月3日 13時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - 続編制作頑張ってください! (2020年5月2日 21時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - 鬼小夜千夢さん» アニメOPでも、少ししか映らないのにカッコ良さは際立って…もう無惨様は美しくカッコイイですよね!この作品でそう思っていただけたのなら光栄です! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - ひろかさん» 鳴女ちゃん本当に可愛いですよねっ(*´▽`*)私も大好きなんです! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
鬼小夜千夢 - 無、無惨様!死にそうなぐらいかっこいいし……あぁもう死にそう(//∇//) (2020年4月29日 17時) (レス) id: 998332dba8 (このIDを非表示/違反報告)
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