鬼が好きな少女は。弐

漆拾 ページ20

「紹介するよ、私の愛する子ども達だ。」


黒髪の男の人はお館様と呼ばれているらしい。

私の目の前にいる方々は、皆とても強そうだった。
その中に、宇髄さんや、昨日私に声をかけた青い瞳の人と綺麗な女性の方も居た。


「みんな、この子はA。今日から私の子だよ。」
皆が私を見て目を丸くしたり、ネチネチ言っていたり、真顔だったり様々な反応だった。


正直言って……怖かった。
人間は怖いものだ、何人か人間でも怖くない人いるけど…。




「…よろしく頼むよ。」



お館様と呼ばれる方が帰っていくので、私も後について行こうとすると、



「Aさんはこちらですよ。」

昨日の女性が手招きをするので、私は靴を履いて庭に降りた。


「…」

「Aさん。そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。私達は貴女に危害を加えるつもりはありませんから。」

「きゃぁぁっ！Aちゃんとっても可愛いわっ！」

「えっと……」


「おいおい、Aが困ってんだろーが。」

宇髄さんが私の頭をワシャワシャ撫でて笑う。


「よっ、昨日ぶりだな。」

「おはようございます……宇髄さん。」



「俺はァ仲良しごっこは嫌いなんだよォ。A、鬼舞辻無惨の居場所をとっとと教えろォ！」

そう傷だらけの人が言った瞬間、隣に居た人が彼の頭を叩いていた。

「おい！冨岡テメェ！！」


「…無惨さんの居場所、私にもよく分かりません。」

「はァ？」


「気付いたらデカい屋敷の中なんです。なので、私は何も皆さんの知りたい情報なんて持っていませんよ…。」


「…俺はァ、いくらお館様の頼みでもお前とは仲良くなんてしねェ…」

そう言って傷だらけの人は行ってしまった。



「Aさん、不死川さんは放っておいて行きましょうか。」

「…え」

「包帯の下の傷、見せてくだいね。」

女性の方に微笑まれ、私は女性の方について行った。




＊＊＊



「この傷……鬼舞辻無惨がやったのですか？」
柔らかい綿みたいのをポンポンされながら聞かれる。


「…」
どう言ったらいいか分からない私に彼女は眉を下げ、微笑む。



「…あぁ、自己紹介がまだでしたね。私は蟲柱の胡蝶しのぶです。」

「……胡蝶さん。」


綺麗な名前。とても彼女にピッタリの名前だなって思う。



「Aさんは鬼に育てられたと聞きましたが、その鬼は人を食べる事は…」

「私のお父さんは、時々少量の血を飲んでいました。食べる事はしていません。」

「そうですか……。」

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