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◯両面宿儺
当たるのを分かっててわざと避けなかった。
貴方が唖然としていると彼は貴方の手首をぎゅっと握り締め、
「今度それを俺にやってみろ。分かってるな?」
脅しにも近いけれど、彼に手を挙げてしまったから。
泣きながら、呼吸も忘れて、ごめんなさい、嫌いにならないで。
そう繰り返す貴方を見ると戸惑う。でも最終的には
抱きしめて落ち着かせてくれる。人に情がわき始めた?
違う、貴方だけに情がわいてる。
◯夏油傑
「ごめん、」
彼も。避けれるでしょ、止めれるでしょ。
でもね、彼は避けなかった、止めなかった。
理由を聞いてもごめん、そうとしか言わないから。
今夜は長引く。堂々巡りを繰り返す。
一体何回ぶつかれば和解できるの?
嫌いじゃない。嗚咽をこぼしながら。
「傑の事は大好きだからッ、」零す、溢れる本音。
彼はそれを聞いて抱きしめる。愛し合うことと愛される事は
決して罪にも罰にもならない。
◯乙骨憂太
「ぇ、、?」
自分の所為で、自分が助けられれば。
何でも自分の所為と思ってしまっている彼に。
鞭を打った。現実を見て。貴方は私を守ってくれている。
「大切な人は守れなかったかもしれない。でも私は守られてるよ、」
そう言ってキスをすると、彼は大粒の涙を流して。
「ありがとう葵衣ちゃん」そう言う。
愛があれば谷も山も乗り越えられるなんて誰が言った?
分かんないや、もう。
二人静かに駆けていく。疲れたよ。
◯狗巻棘
パチン、乾いた音は響いていく。
貴方は自分が彼にやってしまったことに気付いて。
嘘でしょ、いいえ本当よ。脳内再生。
後悔と罪悪感しか残らなかったから貴方は彼にこういうの。
「ごめんなさい、今までも。」終わらせてしまうことも、
散らせてしまうことも枯らせることも。
誰にだってできるけれど。戻すことは大切な人しかできない。
◯高専五条
「、、っ、て」
痛い、そう漏らす、は?
悲しいのに、怒りもわいてくるし、わざわざ当たらなくていいのに。
貴方がわけもわからず目から涙を流していると、
彼は抱きしめる。優しく包み込んでとかしていった。
棘が生えた一輪の花を。名前も知らないけれど。
▼儚く散るは幾千の花弁
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作者名:381 | 作成日時:2021年2月27日 9時