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42話 ページ42

「適切な処置もしてやれねェ」


「………いいよ」






地上に出て鼻声の不死川さんに頭を撫でられた。



彼は目が見えなくなった私に代わって肩や足の止血をしてくれた。








「命が灯る限り戦い続けよう…」


「………」





どっちが前かも分からないような私は、肉の壁となることくらいしか役目はない。






死にに行けと言われ、素直に頷けるほど未練が無いはずがなかった。







「一時間半!夜明ケマデアト一時間半!!」



盲目となった私に、一時間半生き残る術はない。









「害虫共が…っ」


「A…、避けろ!!」





避けろって言われても、分からないの。



悲鳴嶼さんとは違う、見えていた視界がさっきいきなり無くなったんだもの。









「水の呼吸 弐のガッッ…!!」

「Aちゃん!!」







当たってくれ、と神頼みのように刀を振るったが当たるはずもなく飛ばされた。




内臓が出そうだった。



レンガに打ち付けられて意識が飛ぶかと思った。









「Aはどうしたというんだ…っ」


「さっきの戦いで視力を失くしたァ!なんも見えてねぇ状態だが…助太刀してやれねェ!!」


「そんな…」








私だって闇雲にでも技を出さないと死ぬし、自己防衛ですら手一杯なのにお荷物のなる余裕ない。



みんな分かってる、私だって。









無惨だって。





「危ねェ!!」




だから最初に狙われる。









「させねぇぜ!!」


「伊之助が叫ぶからバレたじゃん!やだもぉぉぉ“!」


「Aが慣れるまで、必ず援護する…!」







風を切る感覚がした。



伊之助と善逸、カナヲが来てくれたんだ、








「この紙いっぱい持って来たぜ!使えA!!」








何の事だかは分からないけど、でも何か確実に使える物がそこにあるはずなんだ。





お荷物にならないようにしないと、真っ暗闇がこんなにも怖いから…早く、









「A!!」



カナヲの叫び声がした、まずい、攻撃が来る。


そう分かっているのに今の私は刀を振るうことも、避けることも出来ない。







ただ1人痛むまで待つだけ。







「A……!!」



待つだけ…









「おにい…ちゃん」



苦しそうな兄の声と、その香りの包まれて飛んだ。





二人で瓦礫に叩きつけられ、なんとか起き上がって見えもしないのに顔を上げた。








「なんで…」

「すまなかった」





片腕でギュッと抱きしめられた。







「怖かったな」


「………」



「側にいてやれなくて、すまなかった」








混乱の中で、確かだったのは兄も私も泣いてたこと。

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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、! (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした、、、出会えて良かったです、、、 (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だむい | 作成日時:2020年7月26日 20時

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