17話 ページ17
一人下山したつもりなのに、なんでこんなところにいるんだろう。
「捕獲ご苦労だ不死川。」
「魂入ってんのこれ?」
「流石に疲労だろォーがァ」
ぼけーっと正座していると、ツンツンと不死川さんに頭を突かれた。
里襲撃の日の夜も変わらず任務に没頭していたら不死川さんに失神させられてここに連れられた。
「よくぞ捕獲してくださいました。」
まぁ捕獲っていう単語が用いられてるあたりちょっと解せないが。
「甘露寺様、時透様、冨岡A様には独特の痣が発現したという報告がありました。その発現方法をご教示願いたいのです。」
よく分からないけど限界突破が視覚的に現れるのは分かりやすくて良いと思う。
「痣というものに自覚はありませんでしたが…考え直せば思い当たることがありました。」
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「体温を39度以上…心拍数200近く、Aはそれに該当したのか。」
「…今言われて初めて気づいたのでなんとも。」
私は知らないけど、どうも甘露寺さんが確かに私の痣を目にしたらしい。
「Aみてェに完全無自覚な奴もいるって事かィ」
「本件より前に発現していた可能性もあるな」
平常な心拍数とか、平熱知らないし。
「Aはもとより己の限界も知らず倒れるまで戦い続ける奴だ。参考にならんと思うがね」
「本物のお兄さんよりお兄さんしてますね伊黒さん。」
「やめろ。」
それ思った。
「もう痣が発現してしまった方は選ぶことができません。痣が出たものはどなたも例外なく…」
なんだが後ろ向きなあまね様の言葉を不思議に思って顔を上げた。
悲鳴嶼さん背中広すぎて全然顔見えないけどとりあえず見た。
「二十五歳を待たずに命を落とすこととなります。」
端的に説明すると、痣は寿命の前借りらしい。
もし最終局面が訪れるとして、寿命が無いならと命を蔑ろにしてしまいそうな話だ。
爆然とした未来への虚無感というか、
鬼殺隊に入った時からいつ死ぬか分からなかったけど、確約された死。
「話が終わったなら俺は失礼する。」
「………」
兄は私の顔ひとつ見ずに立ち上がり背を向けた。
「おい待て失礼すんじゃねェ」
「俺には関係ない。先に失礼する」
「…私も失礼します。柱じゃないので」
「どの冨岡も鼻につくな」
「どの冨岡て」
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柊蓮(プロフ) - 毎年、誕生日に読んで号泣してます…大好きです。この作品も、同じ作者様の作品も。ついに夢主ちゃんとおんなじ16歳になりました…来年もまた読みに来ますっ素敵な作品を本当にありがとうございます。 (2月9日 1時) (レス) @page50 id: 4d2be51c25 (このIDを非表示/違反報告)
芽依 - ボロ泣きです、、最高です、後日談までもう泣けてくるんですが、、すれ違う兄妹の書き方が神ってますね、素敵な作品を読ませていただきありがとうございました、、! (1月30日 10時) (レス) @page50 id: e9435a06b7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 涙止まりませんでした、、、出会えて良かったです、、、 (11月24日 13時) (レス) @page50 id: 477ea6ec3d (このIDを非表示/違反報告)
ピンス - 流石に泣きました。後日談も最高です。神作品ありがとうございます… (11月10日 23時) (レス) @page50 id: 18a9383861 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - めっちゃ泣きました。凄い良いお話です (10月5日 18時) (レス) @page50 id: e622d65d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だむい | 作成日時:2020年7月26日 20時