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47話 ページ47

「俺もお前に飯分けてやるから炭治郎じゃなくて兄様にしろ!な!!」


「必死か。」





兄様は、私にいつも食事を分けてくれたじゃん。




「ほら食え!」


「いらない…」


「食え!!」





父の訓練で疲弊しきっている時とか、食事抜きの訓練とかの時、山で採ったキノコや、川で捕まえた魚を私に食べさせてくれた。




兄様の腹の虫は、いつも鳴いていた。









「善逸め…Aにカステラをやるなんてクソッ、俺が先にあげたかった…!」



「じゃあ今度買って」


「おうよ!」





カステラより良いものをくれたんだよ。




私の名前。



Aっていう名前。









「このクズが!遅い!そんなもので忍が務まるものか!この木偶の坊め!!」




揶揄する私の代名詞は沢山あったけど、兄様だけはいつも固定した名で呼んでくれた。






「A、大丈夫か?」


「A、着地する時爪先からな」


「でっかくなったなAー!」





絶対に、クズだなんて、木偶の坊なんて言わなかった。









「殴り合いの喧嘩は無理だ。Aを殴るなんて伊之助、偉くなったな。目覚めたんだってな殴りに行こう」


「やめて昔の話だから」





手をあげられた事はないけど、ダメな事はちゃんと叱ってくれた。






「腹立つのは分かる。俺も腹立つからな、あいつ。」


「でも今のはお前が悪い」


「冨岡にちゃんと謝って来い」





悪いことを悪いと教えてくれたのは、叱ってくれるのは、兄さんだけだった。





私がこうやって15歳になれたのは、兄様がいたから。









「いつもありがとう兄様」




「おー、どうした。デレ期か!!」









「それにしても兄様は私のこと好きだよねぇ」



「当たり前だろ」



「なんで?」





「なんでってそりゃあ……」





__






父親の訓練で、兄弟も俺も凍え切ってたけど、







「天元、妹よ」



「…あったけぇ…!」





お前だけは温かかったから、






それだけじゃねえわ


_









「いや…妹が可愛いことに、理由なんてねぇだろ」




「えー…」







ぶーっと口を膨らませる私を見て、兄様はクシャッと笑い私を撫でた。





髪が酷くボサボサになり、顔を顰める。









「どこで何しててもAは派手に可愛いからな!」





反面、屈託のない笑顔を向ける兄に、私もつられて笑った。









「Aが大事なことに理由なんていらねーだろ!」




「それもそうだね」





私も、そう思う。

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(プロフ) - 感動しました、素敵な作品をありがとうございます!!!😭😭😭 (8月8日 22時) (レス) @page49 id: 72e740ca3a (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり - 泣く!!!! (2022年3月28日 14時) (レス) id: bfccae0caf (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ - はあぁぁ、むい君のやっぱり可愛いってやつで私は成仏しました…… (2022年2月15日 21時) (レス) @page33 id: f76242864c (このIDを非表示/違反報告)
まっひー - 足抜きではなく、足抜けではないですか?間違ってたらごめんなさい! (2021年12月3日 20時) (レス) @page19 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
毒猫 - うぅ・・・感動しました!また違う作品で! (2021年9月11日 22時) (レス) id: dc79ac4bfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だむい | 作成日時:2020年4月7日 22時

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