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43話 ページ43

無一郎君の硬い胸に顔を埋めて私は泣いた。



泣くと腹筋が痛んで、いろいろな涙が混ざっていた。








「傷だらけ、」


「それは、お互い様でしょう…」






それでも何より、無一郎君がいる事が嬉しくて、触れている事が嬉しくて。








お互いの表情は見えていないけど、こんなにも近い距離が幸せで。






生きてて良かった。って、心からそう思える。









「……本当、鈍臭いね」



刀持ってないとかあり得ないんだけど。とお説教を食らった。






刃こぼれでもなく完全に折れてしまったので仕方がないじゃない、と反論しようとしたら、頬を撫でられる。









「A、」



「んっ…」






途端に、優しく口づけされて、身体は動かないしそれなのに顔に熱が帯びて…








「む、い…」



「変な顔」





言い返すことも出来ずに、私は両手で顔を覆った。









「見ないで…」




自分で触れて、自分で驚くほど私の身体は熱を帯びている。






こんな表情、きっと笑われちゃう。









「Aが最初にしてきたんじゃん」




あまりのリアクションにクスッと笑いながら無一郎君は言った。






水獄鉢でさ、びっくりしたなー、なんて。







「あんな命懸けのキスはごめんだけど。」



「うっ…」







あれしか、方法が浮かばなかった。



あの時は夢中だったけど、今思うと私はなんて事を…!









堪えられなくて、正座している私は状態を丸めて小さくなった。









「…記憶がない間も、何故かAだけ凄く愛おしく思ってた。」




すると無一郎君は、徐に、ポツリポツリと話を始めた。









「そう、なんだ」









「関係ないか。忘れる度に勿忘Aに惚れてたんだもん」





そんな人を忘れる僕はどうかしてた。と私の顔を両手で包んで、強制的に目が合う。





手、傷だらけ。









「好きなって、でも忘れて、ふと気がつくとまた好きなってた。」




私とは違う恋の仕方に、不思議な感じがする。









「もう、何回目の初恋だろうこれ」








きっとまた恋に落ちる気がする。とそう言った無一郎君は決して目を逸らさないまま、顔を寄せてきた。









「ねぇA、」




「はい」









「もう絶対忘れないから、ずっと俺が守るから、だから__」









___









_









「僕の、お嫁さんになってください。」

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ジャンとアニの守り隊 - 久しぶりに鬼滅夢小説見たら面白くて宿題やらずに読んでしまった泣…神作品✨ (2月27日 23時) (レス) @page46 id: 3aa9af30d4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭奈莉逢瑠悲@カナリア:ルカ(プロフ) - 天才作者様だ (6月15日 17時) (レス) @page30 id: 4d14879615 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - 深夜に見つけて読了したのがAM3:21!運命をかんじました!!そして苦しくて涙が出過ぎてただ今枯れてます😭めちゃめちゃ感動です…素敵な物語から幸せを頂きました!ご馳走様!ありがとうございました〜!! (5月16日 3時) (レス) @page46 id: 2d06e4d39c (このIDを非表示/違反報告)
8190506(プロフ) - めちゃくちゃ感動しました…!一晩で書き上げてしまったと聞いて本当に驚きました…。でもそれを感じさせないほど素敵な作品でした…! (2022年4月2日 22時) (レス) @page46 id: 5a5b1fad70 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki0708(プロフ) - しっかり泣きました!最高です (2021年10月16日 19時) (レス) @page46 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だむい | 作成日時:2020年3月31日 8時

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