【鬼滅の刃】無一郎君は知らない。

11話 ページ11

二つ返事で了承し、私は溢れて止まない笑みを悟られないように壁側を向いて呼吸を落ち着かせた。







「無一郎くん！今ぬるま湯を沸かしてもらったから血を洗ってあげた方が良いわ！」


「ありがとうございます。」







「Aさんはお薬の時間ですよ、忘れずに飲んでくださいね。」


「えぇ…なんか増えてませんか…？」


「今が一番大事な時期ですからね」





アオイさんに渡されたお薬を嫌々口に含む。



コップいっぱいに入ったお水を一気に飲んでお薬の味を感じないうちに流し込んだ。







「う“…苦ぁぁ…」



今回はまた強烈ですね、と顔をクシャッとさせていると、とても小さい笑い声が聞こえた。






「変なかお」


「失礼な…っ」





無一郎はクスクス上品に笑いながら部屋を後にした。







「………」



「あらっ！Aちゃん熱が上がっちゃうわ！」




ポッ、と顔が赤らむ私に甘露寺さんが手でパタパタと煽ってくれる。







「乙女ね！！」



「やめてください…」



「きゃー！可愛いわ！」





顔を覆ってベッドに倒れ込んだ。








「解熱剤持ってきましょうか？」


「アオイさんまで…」





悪戯っ子みたいに笑ったままアオイさんは無一郎君の元へタオルを持って行った。





羞恥心でベッドでゴロゴロしていると、隣のベッドに倒れるように私の日輪刀が置いてあることに気が付いた。








「わ、私日輪刀の手入れをします」




ガタッと慌ただしく日輪刀を手に取ると、随分刀が軽い事に気が付いた。









「あらっ、折れてるじゃない折れてるじゃない！」



サーッと顔が青くなって行く。







「ど、どうしましょう…」



鬼殺隊解雇？


非戦闘要員…？








「大丈夫よ、刀鍛冶の里に行けば良いのよ」



お館様から許可が出たら行けるのよ。と、




刀鍛冶の皆さんの里だよね、きよちゃんから聞いたことがある。









「でも少し遠いから、完治してからね」



「もう完治じゃないですか…？」



「まーだ！その時は私からお館様に伝えとくわ！」



「何から何まですみません…」





任せて、と笑う甘露寺さん、ここ数日で柱ともあろうお方にとんでも無くお節介を焼いてもらっている。








「私はこれから遠方の任務だから、次会えるかは分からないけれど…」



「そうなんですね…」




「でもAちゃんと約束しちゃったらから必ず帰ってこなくちゃね！」



「絶対ですよ」

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