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『……ッ、ちょ、離して下さいよ…!!』
大学から随分離れた歩道。
まるで人が変わったようなおそ松様に、
私は未だ抱き抱えられている。
なんだこの格好…、
…うわ、周りの人凄い見てるよ…。
…っ恥ずかしい……、
顔を真っ赤にしながら滅茶苦茶に暴れると、
逃さまい、と強く抑えられ、
そのまま薄暗い路地裏に連行された。
ようやく身体を降ろされたかと思いきや、
凄まじい力で壁に身体を叩きつけられる。
『…いッた…、
……ヒェッ』
「……もう逃さねェぞ。」
さっきの芝居は嘘のように、
目の前の彼は、いつもの平常運転に戻っていた。
……怒ってる。
ド怒りだ。
まぁ、当然ですよねー…、
『…いや、ちょっと待ってくださいよ…っ、
これには訳があって、』
「弁解は要らん。
神社に帰るぞ。」
『ちょ、…だから…!!
…っていうか、何で私の居場所が分かったんですか!?』
「…はッ、…さぁな。」
『それに、貴方神社の外には出られないんじゃ…。』
「…あんな小細工で、
俺を縛り付けられるとでも思ったか?
侮るな、馬鹿女。」
『…ぇ、じゃあカラ松様やチョロ松様は…、』
「…他人の事より、…まずは自分の心配をしたらどうだ?」
『…へ、…んむぅッ!?』
むに、と唇を押し付けられる。
久々の感触に、心臓が跳ね上がった。
『……っ、ちょ、誰かが見てたら….』
「…知ったことか。
俺との約束を破った罰だ。」
『……悪かったと思ってます…。
無断で貴方を置いていってしまったのは…、』
そう言いかけた所で、
全身を強く抱きしめられる。
「…………会いたかった。」
『……っ。』
顔をスリスリと擦り付け、
強請るような彼の声に、思わず胸がキュッとした。
『……あー、もう。
…仕方ないですねぇ…。』
本当に、ずるい人だ。
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緑の白猫 - rフラグの限界を試す語彙力。 (2021年4月19日 20時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
りだ兄(プロフ) - 兄様、最高すぎです。 (2019年9月13日 23時) (レス) id: b7a49e66ce (このIDを非表示/違反報告)
Rit(プロフ) - あまもさん» にゃー。 (2019年9月13日 22時) (レス) id: ad53a4c674 (このIDを非表示/違反報告)
あまも(プロフ) - 猫ktkr (2019年9月13日 21時) (レス) id: 6a329060ea (このIDを非表示/違反報告)
ただの通行人(プロフ) - 結婚式か。良き良き……是非呼んで下さいな。 (2019年9月5日 21時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
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