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その日もラウールは部屋に籠もっていた。ベッドに横たわり、あの日を回顧していた。
阿部を＿＿「Time」を＿＿思い出す度に、今でも涙が零れそうになる。
あの時、あんな酷い事を言わなければ。その後悔がラウールを縛り付けて締め付ける。
fk「ラウール、入るよ」
ノックに返事をしないでいると、深澤が静かに部屋に入ってきた。
深澤はベッドの側に座った。しばらく何も言わなかったが、やがてラウールに優しく声をかけた。
fk「ラウール、」
ru「……っ」
fk「そろそろ……阿部ちゃんのとこ行ってみない?」
ru「……嫌だ」
天井を向いたままラウールは答えた。
自分が彼に会いに行く資格など無い。彼に命を捨てさせたのは、自分以外の何者でも無いのだ。
ru「俺が間違ってるなら……何が正しかったのか、教えてよ」
fk「ラウール?」
ru「……阿部ちゃん、最後にそう言ったの」
ラウールは虚空を見つめて静かに呟いた。深澤はラウールの言葉にただ耳を傾ける。
ru「……僕にも分かんないよ、」
fk「……」
ru「ねえ、何が正しかったの」
fk「……」
ru「僕は、どうすればよかったの」
哀愁の滲んだ呟きに深澤は黙り込んだ。ラウールもそれ以上何も言わなくなった。
しばらく沈黙が流れたのち、口を開いたのは深澤だった。
fk「……きっと、お前は正しかったよ」
ru「でも阿部ちゃんは、」
fk「お前も、あいつも、きっと正しかったんだよ。ただ立場が違って、その正しさが噛み合わなかっただけなんだよ」
ru「っ……、」
fk「その歪みを作ったのは、傲慢な欲望でchipを作り出した人間……俺たち人間だ。「Time」は＿＿A-chipは、そもそも創り出されなければ苦しむ事も無かったんだ」
その言葉で、ラウールはようやく深澤の顔を見た。
真剣な言葉とは裏腹に、彼の表情は酷く穏やかだった。
fk「だから、俺たちがその歪みを元に戻さないといけないと思ってる。それが俺たちの……第零班の、新たな使命だと思ってるよ」
ru「……ふっかさん」
いつの間にか、ラウールの目から雫が落ちていた。彼の言葉が酷く心に沁みた。
ずっと引っかかっていたものが、ゆっくり解けていくような気がした。
fk「……阿部ちゃんに、会いに行かないか」
ru「……っ」
fk「なんというか……決意表明、しに」
彼はもう、嫌だと口にする事は無かった。
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ふわふわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後の最後まで展開が読めなくて魅入ってしまいました。読んだ後は言い表せない気持ちになって…終わってしまうのは寂しいですが、この作品に出会えて良かったです。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: f520444a12 (このIDを非表示/違反報告)
猫茶(プロフ) - 最後まで面白かったです。完結お疲れ様でした。ものすごく楽しい時間をありがとうございます。今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月16日 0時) (レス) id: 49683351d4 (このIDを非表示/違反報告)
87(プロフ) - 完結お疲れ様でした！本当に大好きな作品で、終わって欲しくないとすら思っていました、、なんだかすごく大きな問いを私たち自身にも投げかけられたような気分です。楽しませていただき、本当にありがとうございました！今後の作品も楽しみにしています。 (2020年6月14日 17時) (レス) id: 14f6dae557 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 完結お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白かったです！毎日楽しみにしてました！ありがとうございました！ (2020年6月14日 14時) (レス) id: c32ac9b701 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - 完結お疲れ様です!!怜さんの作品の更新を毎日楽しみにしてました!!またいつかこういう能力系などのすごい作品が作られるのを待っています!! (2020年6月14日 13時) (レス) id: f176b79d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年6月5日 21時
