幕間 混同 ページ8
空の天辺に月の輝く時間帯、アズレア真竜王国王都冒険者ギルド内は未だ明るい喧騒があった。
いくら大陸最大国の王都とはいえ、こんな夜更けまで活気ある場所は酒場か冒険者ギルドくらいなものだ。
衛兵の詰所にも明かりは灯っているが活気ある訳ではないので除外される。
ギルドの高い天井に一際大きく響くのは、3年ぶりに訪れたかつての仲間を迎え入れた冒険者らの歓声だ。
いや、仲間というのは語弊があるかもしれない。
冒険者同士の連帯感というのは多少なりともありはするが、彼らはパーティを組んで共に活動した事はなかった。
しかしその顔は王都を拠点としている古参の冒険者らは殆ど全員が知っていた。
「──だろォ?!俺はマジトリニタリアの連中が許せねえのよ!」
渦中の人物は周囲よりも上背があり、彼を知らない冒険者達の視線も集めていた。
ただしそれは憧れからではなく、その見た目の奇妙さに惹かれる好奇心由来だ。
魔法灯の光に煌めく銀髪は前に長く垂らされておりその右目は伺えない。側頭部は短く刈り上げられており、耳と剃られた眉尻に幾つも開けられたピアスが目立つ。
そんなインパクトのある格好に負けず劣らず整った顔立ちはまるで作り物の様だった。
しかし彼の言動や途切れない笑みに、周りを囲む古参の冒険者達はノリよく盛り上がるばかりであった。
「それで隠れてた教団支部1つ潰しちゃうなんてやっぱ違うなぁ〜」
「誰も教団の場所なんて知らないから事前情報もゼロ、普通やる気出ないよなぁ」
再び功績の賛辞へ話題がループしそうになった気配を感じた銀髪の男は耳たぶのピアスを引っ張った。
「……あー、そんで久々に王都にも奴らが増殖してねぇか俺ァふと心配になったワケよ」
その言葉に反応したのは古参パーティのリーダーである。
「なるほどな、でも目立った事件の頻発も無いからなぁ
あいつらは表立って何かしてくれないと判別つかねえし」
「国境でも身分証ない場合は思想チェック通されるしねー
あっても国内で定期受診の時聞かれるけど」
追従した弓使いの声に、魔法使いが思い出したように続ける。
「でも最近式典があっただろ?守護竜様復活の……あれでまた活発化する可能性はあるよな」
その言葉に周囲もピンと来たのか口々に同意の声を上げた。
銀髪の男は興味を引かれた様に視線を巡らせる。
「んだそりゃ?この国の建国のアレになったっつー蒼竜サマか?」
「そうそう、まああんま詳しいことはまだ記事にされてないけど」
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作者名:あああああ | 作成日時:2025年12月15日 8時


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