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   死の隣人 ページ46

「貴方達は実に不幸だ」



男は部屋に入るなりよくわからないことを言ってのける。

見上げれば、そのやけに整った顔は、間違いなく黒傘でひと一人の命を軽く奪った先の男と同じものだった。



「あら、それは……突然訳もわからないまま変な輩に誘拐された事を憐れんで下さるのかしら?」



アリエッタはこの男の恐ろしいまでの膂力とあの惨状を知らない故か、もしくは知った上でなのかはわからないが
少しも臆することなく毅然とした態度で言葉を返した。

黒スーツの男がため息を吐いた。




「そのような表面的なことではなく、もっと奥の底にある根深い──そうですね、闇とでも呼べるようなもの」



「よくわかりませんわね……要領を得ない貴方の自己満足の語りを聞かせるためにいらっしゃったんですの?」





アリエッタの皮肉が止まらない。
どんな胆力があればこの状況でわけのわからない相手を煽れるというのだろう。

僕は沈黙を貫いた。






「ふむ、そうか……それでは端的にお伝えするとしましょう。私が憐れんでいるのは貴方達の過去の傷のことです。」





一歩、男が近づいた。





「貴方が人を愛しても向こうがそれに応えてくれるとは限らない、ましてや貴方が愛だと信じていたものも有限でしかなかった。母上のことも国のことも、騎士団長様のことも実に残念でしたね」




「はっ……?なによ、それ……」





アリエッタが言葉に詰まった。

男が、近づいた。




「誰よりも愛されたいと願う貴方は、その実本当の愛を知らない。だからこそ渇望する。その想いが自身を焦がすことさえ厭わずに。
──そうでしょう?今となってはマーカスの真意を確かめる術もありませんが、ね」




は?こいつ今なんて……




「どうしてお前がそれを……」




「彼は優秀な男だったのでね。とある国のとある犯罪組織を一網打尽にし、その手柄を王家に献上することで貴族位を奪おうとしていたのですが……彼は貴方を見つけてしまった。実に不幸なことでした」




答えになってない

こいつはマーカスの何を知っているんだ

いやしかし確かにマーカスは貴族家の四男だったが、あれだけの巨大な組織を打ち果たせたとしたら場合によっては上三人を抜かして当主になるということも可能だったのか……?





Aはマーカスと出会ったことで始めて信頼するということを覚えた。



次はその信頼を疑う、ということを覚える段階に入った。



この世界に確かなものなどないのだ、と

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設定タグ:男主 , BL , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます!とっっっっっっっても嬉しいです!!!続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います!あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります! (2021年3月25日 23時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫((うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます!これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします! (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫((うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます!あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あああああ | 作成日時:2019年4月21日 20時

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