拭って尚残る ページ40
「これでようやく人心地ついた、か……」
アスールはソファに腰掛けると軽く息をついた。
闘技場での事を終わらせ、無事にAと合流した後に三人で宿を探していたのだが、ちゃんと部屋をとれたので取り敢えず安心だ。
今回のお祭り騒ぎがあった街は平時より人が多いため、宿も全て埋まってしまっている可能性があったのだが杞憂に終わった。
Aはよっぽど疲れが溜まっていたのか、アスール達と合流してからはしきりに目を擦りフラフラとした足取りで何とか着いてきていたのだが。
宿の大浴場に行かせてから部屋に戻ってきた彼はすぐさまベッドに潜り込み眠ってしまった。
アスールは知らないことだが
Aが最後に睡眠をとったのは娼館から出発した前の日であることを考慮すれば、それも無理からぬことである。
更に言えば羽毛を惜しげもなく使用した布団の寝心地も、Aにとっては(記憶にある内では)初めての体験だった。
肌をなめらかに滑る布団とふわふわの太陽の香りに包まれた彼に抵抗する術はなかったのだ。
ちなみに風呂にはA以外誰も入らないようトールとアスールの二人でしっかりと人払いをしていた。
アスールは眠るAの顔を見る。
あの洞窟で出会ってから二人はほんの短い時間しか共にしていないが、今の彼の寝顔は初めて見せる穏やかさを湛えていた。
いずれは起きている間にもこんな顔をしてくれる様になるだろうか。
そうなったらどんなに嬉しいことだろう。
籠手を外したアスールの指が濃紫色の髪を掬い、離す。
部屋に灯るわずかな光を受け、上質な絹糸の様な髪がキラキラと色を変え流れ落ちる。
まるで宝石だな……
龍は宝石や貴金属など価値の高いものを好み、収集するものだなどと金色のヤツが言っていたが
なるほど存外わからんものでもない
「ふぃー、上がったぜー」
アスールがかつての知り合いの言を思い出していると、湯上がりのトールが扉を開けた。
彼はAが入浴している際の人払いの後、先に風呂へ入っていたのだ。
そして彼とはある3つの理由から宿の部屋を共にしている。
宿の繁忙期だったため空き室が1つしかなかったことと、
Aが世話になったトールへのお礼がしたいと言い彼が同室を望んだこと
それとあと1つは単純に今後のための準備があるため同室の方が効率的だからだ。
「ああ、では俺も身を清めてくるとしよう………変な気を起こすなよ」
「何もしねーよ！」
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます！とっっっっっっっても嬉しいです！！！続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います！あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります！ (2021年3月25日 23時) (
レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫（（うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます！これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします！ (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫（（うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます！あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あああああ | 作成日時：2019年4月21日 20時
