狩りを為せ ページ17
Aの指す方を見ると、暗くてわかりづらいが山肌に大きく穿たれた穴が見えた。
なるほどここならば休むのにちょうどいい。
追手共が未だに自分たちのことを探しているかはわからないが、どちらにせよこのまま逃げ続けるのは不可能だ。
だがそれは“二人一緒なら”の話だ。
移動を続けるだけならばA一人でも支障はない。
射たれたのは左肩なので、動けば多少痛むだろうが歩くのに何の問題もない。
今足を引っ張っているのはマーカスであった。
マーカスは右脚を見やる。
パッと見た感じでは酷く折れ曲がっている感じはしない。
しかし膝から下に全く力が入らない。
「……うん、あそこで少し休んで貴方の傷を手当しましょうか」
そしたら私を置いて先に──
そこから先は言葉にできなかった。
マーカスはAの華奢な肩と腰に手を置き、一歩一歩洞窟へと歩んでいった。
入り口は人が3人並んで入れる程の広さだったが、もうしばらく奥へ進むと巨大な空間があった。
このままでは暗くて自分の手すら見えないので、単純な火の魔法が込められた短杖を取り出しランタンへ明かりを灯す。
「わ、広い……」
「蝙蝠の類もいないようですし、どうやら安全みたいですね」
マーカスが着ていたマントを下に敷くと二人は座り込む。
「肩の具合はどうですか、手は動きますか？」
「ん……大丈夫みたい」
「見せてみてください……傷が開いたままですね……」
中に残ったままの鏃が邪魔で上手く再生できていないのだろうか。
Aの肩口からは未だに赤い血が湧き水のように流れ出てきている。
マーカスは血を失うことが良くないことだと教わっていた。
「A……このまま放置しておくのはよくありません、鏃を……取り出しましょう」
「わかった……」
Aは服をはだけさせると石壁にもたれかかり、その辺りにあった木屑を噛む。
痛みのあまり口内を歯で傷つけないようにするためだ。
マーカスは風の魔法が込められた美麗な銀の短剣を鞘から抜き出す。
鏃は細く鋭いもので、腕の付け根にある骨と骨の間に入り込んでいるらしかった。
ランタンをかざしてみるが、Aが抑え込んだときに奥の方へ行ってしまったのかよく見えない。
「少し、傷口を開けます……」
指で拡げた傷口の端に短剣の切っ先を当てる。
マーカスは一瞬だけ躊躇した後、短剣を持った手に力を入れた。
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あああああ(プロフ) - kohakuさん» コメントありがとうございます！とっっっっっっっても嬉しいです！！！続きは鋭意執筆中ですのでもうしばらくお待ち頂けたら、と思います！あまり時間がかかり過ぎないよう頑張ります！ (2021年3月25日 23時) (
レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
kohaku(プロフ) - とても素敵な物語に引き込まれました、続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2021年3月21日 21時) (レス) id: 5df933aa41 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - 紅紫（（うっせぇわさん» とても沢山のお褒めの言葉、ありがとうございます！これから続編へと入るのでこれからもどうか宜しくお願いします！ (2021年3月15日 3時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
紅紫（（うっせぇわ - なんて言ったらいいんでしょう。凄くこのお話の中に吸い込まれていって自分がそこにいるかのような…表現の仕方とか自分がしっかりとそこにいるような。これらをまとめて『GOD作品』と言う。辞書で調べて下さい。出てきます。 (2021年3月10日 21時) (レス) id: 37c73b0d69 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ(プロフ) - wyさん» コメントありがとうございます！あまりにも嬉しくて手が震えてます…最近は更新頻度が落ちてきてますが、ちゃんと最後まで続けますのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年9月8日 14時) (レス) id: 1513927827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あああああ | 作成日時：2019年4月21日 20時
