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第八話「森さん………??」 ページ9

赤く染まった空の下で、
中原さんに教えて貰った通りに練習をする。



「よし、じゃあ、もう一度壁を殴ってみろ」
『はい!』



そう言われ、壁の前に立つ。




上半身を捻り、拳を壁に向けて突き出す。




ガッ……!!




『わぁ……っ!!』


一寸前に殴った時とは違って、
壁に少し、ヒビが入った。

私は吃驚して、つい飛び跳ねてしまった。



「…よし!上出来だ。流石だな」

暫くすると中原さんがそう言って、肩をポンと叩く。


『ありがとうございます』


人にこうやって褒められる事は今迄殆ど無かったからなのか、私は少しだけ、顔が熱くなるのを感じた。



そうしていると、隣にいたある構成員の人が、耳元でこう云った。


「首領から、呼び出しが」


其れを聞き、私は小さく頷き、一歩踏み出す。


「…何処に行くんだ?」

中原さんは不思議そうな顔で此方を見る。


『森さんの所へ』



それを聞くと彼は‪”‬行ってこい‪”‬とでも言うように、
首を少し傾け、ふっと微笑み、此方を見た。



私は、廊下を歩き乍、周囲を見渡す。
そして、森さんが居るであろう扉の前に立つ。



森さんはこの扉の奥に居る。

そう思い、扉を押した。



「エリスちゃぁ〜ん!!!お願いだからぁ〜!」

「リンタロウ気持ち悪い!追い掛けて来ないで!」



其処には、幼女を追い掛ける森さんとその森さんから逃げ回る幼女が居た。

『森さん……??』


「え?…………コホンッ。A君、君は何も見ていない。良いね?」

『……えっと、はい。何も……見てません』

私がそう言うと、その幼女が此方に向かって来て、「ここ!」と云い乍ら右手で長椅子を指差す。


幼女の上目遣い……可愛いな。

私はそう思い、その長椅子に座る。

隣では、「ふふふっ」と笑いながらお人形さんと遊んでいる幼女。

___可愛い。


「却説、何故呼び出されているかは判るかね?」

森さんがそう口を開くと、周りの空気がガラリと変わったような気がした。


『……任務ですか?』

「其れもだが、本題は、出世だ」

『出世……』

「そう、出世。本来は最下級構成員から始める所なんだけれど、君は強力過ぎる力を持っている。だから、このままでは勿体無い。という事で次の任務を達成し、そして生きて帰ってきた暁には、出世だ。如何かね。悪い話では無いだろう?」


否。


そう言わせる気の無い其の眼を見て、私は身震いした。

「まあ、ゆっくり考えてくれ給え」

そうして、時間が過ぎた。

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A(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )さん» こちらこそ、素敵なイベントに参加させて頂きありがとうございます!!りりり様に言われては、更新頑張るしか無いですね……頑張ります! (2023年4月10日 15時) (レス) id: f26a97b124 (このIDを非表示/違反報告)
りりり ( ´・ω・)(・ω・` )(プロフ) - Aさん、イベントご参加ありがとうございました〜!! 双黒以外にも姐さんや首領との絡みが見れて文スト民として嬉しい限りでした…!これからの中也と太宰との任務も気になる…!! これからも更新頑張ってください!! (2023年4月9日 23時) (レス) @page15 id: d3e59adc40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:A | 作成日時:2023年3月29日 6時

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