全部、虹色で塗りつぶしてしまえ ページ17
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少し肌寒くなった季節。季節は変わっても、いつも通りの日常が繰り広げられている────ハズだった。
『………遅い』
何時まで経っても帰ってこない父。もう短い針は11時を差していた。
こんな時間まで起きていたら「早よ寝ろ」とパパに怒られるかもしれないが、
今はそれよりも父が気になって仕方がなかった。
『…もしかして、もうプロのヒモに進化した…!?』
嘘だろブルータス。愛娘(自称)がいるのに?もうヒモ化ですか????
その時、ガチャりと鍵が開く音がする。聞き慣れた音に急いで玄関に向かった。
『────ッパパ、遅い!どこ行ってた、の…?』
ドアの前に立つのは、どこか虚ろな目をした父。また禪院家に顔を出してきたのだろうか。立派な着物を着ている。
『…パパ?』
どうしたの、なんて声をかける暇もなく、体を引き寄せられた。逞しい胸筋が顔にあたる。
力強く抱きしめられ、息がしにくい。
か細い声で『パパ、』と呼ぶと彼は「悪ぃ」と呟いた。だが力を緩める気はないらしい。
────本当に、どうしたのだろうか。
いつものあの大人びたクソガキ感は何処へいったのだ。
いつもなら私を適当にあしらうくせに、今回は甘えやがって。甘えたか?デレとうじくんか?
『パパ、本当にどうし、…!』
彼の腕にそっと触れて気づく。
震えていたのだ。カタカタと、寒さに凍えるように。
…そういえば、彼は「五条悟」という最強に会った時、気取られたと言っていた。
五条悟との戦闘中には、「否定したくなった」「俺を否定したその頂点を」、なんてこともあったような。
────もし。もし彼が五条悟に会ってきたのだとしたら。
…パパは今、どんな気持ちでいるのだろうか。
(そんなの、いい気持ちじゃないに決まってる。)
私は、そっと抱き締め返した。
何処にも行かないよと言うように、しっかり、力を込めて、体に触れて。
『…パパはパパだよ。私はパパの傍にいるし、離れていかない。パパの全部が、大好きだから』
ギュウッ、と抱きしめる力が強まる。
『パパには、私がいるよ。』
「………」
『…ありゃ。寝ちゃったかな…?』
全く。膝立ちをしながら寝るなんて器用すぎるだろう。
私にはパパを持つ力なんてない。だから玄関で雑魚寝するパパに毛布をかけて、しょうがないから私は隣で寝てあげた。離れないように、手を握って。
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(たまにはこんなのも悪くないかもね)
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狐(プロフ) - 初コメです!失礼します!夢主も伏黒甚爾もめちゃくちゃ可愛すぎませんか!?吐血じゃないですけどゴフッって空気吐くくらい可愛いです!めちゃくちゃ応援します!更新頑張ってください! (12月30日 3時) (レス) @page48 id: 17039bfc90 (このIDを非表示/違反報告)
れれ(プロフ) - もうまって大好きです面白いと可愛いの大渋滞です…!!続編いつまでもまってます! (12月26日 4時) (レス) @page48 id: 9c9eeae16e (このIDを非表示/違反報告)
望奈 - おもろすぎん。 (12月8日 22時) (レス) @page48 id: 8b146cc8f6 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 初コメ失礼します!めっちゃ好きです…!!パパ黒との絡みがてぇてぇ過ぎて吐血するかと思いました()更新頑張って下さい。楽しみにしてます! (11月30日 20時) (レス) id: fd6863f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだぁ - 投稿楽しみにしてます!! (11月26日 20時) (レス) @page48 id: f8f579a222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時