何せ鳥籠育ちの箱入り娘ですから。 ページ14
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『広い…』
この屋敷は実に広かった。
思わず“迷路か”と突っ込んでしまいそうな道の入り組みさに、何度 目が回りそうになったことか。
だがそれをパパは迷う素振りなく進んでいく。
もしここが「禪院家」だというのなら、私は納得するだろう。
使用人らしき人達は「お帰りなさいませ」と言っていたし、何よりパパ黒は原作通りならまだ家の名を捨てていないだろうから。
やがて歩き続けているうちに大きな襖の前へ着いた。
宴でも開かれているのかというほどに大きな戸に呆然としていれば、そっと下ろされる。
…あ、目的地はここか。
思えば父は姿勢を正している。という事はここにパパの言っていた「ジジイ共」が居るのだろう。
私も背筋を伸ばせば、パパはこちらを見やって「座れ」と床を指さした。
『…え?』
「マナーだよ。和室に入るときのマナー。俺を真似してりゃいいから、取り敢えず座れ」
『…分かった』
大人しく正座する。その前にパパが座っては「禪院甚爾です」と言った。
一泊遅れてから「入れ」とシワクチャの声が聞こえてくる。
その後慣れた手つきで、左手で10cmほど開け、その手を床上10cm程で止め、
また左手で半身程開けて…としている所を見て考えるのを辞めた。見ていたらたまったもんじゃない。
「失礼致します」
スっと入っていくパパ。目配せをして合図を出すパパに続き入っていけば、ズラっと老人が並んでいた。
まあ視線は私達に釘付けになるわけで。
痛い程に刺さるソレから逃げるように目を伏せ、座布団に座る父の一つ一つの仕草を盗み見て真似をする。
「お久しゅうございます、
「よせ。オマエのその口調を聞くと吐き気がするわ。」
「…っは、ひでぇなァ。せっかく人が敬意を示してやろうと思ってやったのに」
「お前の敬意は皮肉に近いものだろう」
「大当たり。」
────はて、誰だろうか。
“甲狗”という人物は原作には出てこなかった。つまりはモブキャラという事になる。
白髪の頭はいかにも「高齢者」という雰囲気を醸し出しているが、凛とした黒瞳は威厳がある。いわゆるイケおじというやつだ。
「…して、そっちの小娘がAとやらか」
視線はパパから私へ。風格に怯えるも、それを表には出していけない。小言を言われたら面倒臭いし。
だからやるなら完璧に、だ。
私は、誰もを魅了する笑みを貼り付けて微笑んだ。

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もなか(プロフ) - すごく面白いです!更新楽しみにしてます! (3月5日 11時) (レス) id: f76d22c821 (このIDを非表示/違反報告)
朔 - 孔詩雨ではなく孔時雨ですよ (3月4日 0時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ロイド・リリー - ヤァダァ…好きでしか無いです!気長に更新待ってます (2月28日 22時) (レス) id: 20dc08c091 (このIDを非表示/違反報告)
ぴえん - 更新まってます。無理せずがんばってください!! (2月25日 1時) (レス) id: cc5bbc3067 (このIDを非表示/違反報告)
透真 - 伏黒パパが、更正したら良いお父さんになりそうですよね~。夢主頑張って感じですね!!! 更新楽しみにしています。(*^-^*)♪ (2月20日 3時) (レス) id: b8cb4c9ad0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イケメンになりたい。 | 作成日時:2021年1月13日 22時