Doll with a heart (ページ7)

今日:37 hit、昨日:13 hit、合計:26,757 hit

◆ ページ7

慧はロープを解こうと下を向いて奮闘していた。そして、慧はふと顔を上げて俺らの存在に気づいた。

「…大貴！その人危ない人だよ。逃げて。」
「嘘でしょ！？あいつを気絶させる為に後頭部に１発、腹パンを２・３発したのに…。」

そう言いながら、慧が起きてるのに驚いている涼介。ちなみに慧は人形なので気絶したりはしない。

不審者に対して容赦ない攻撃をするあたり、涼介が双子の弟じゃなかったら慧の言葉通り危険だと思ってしまいそうだった。

「よし、もう何発か入れるしか…。」
「待って！そいつは同居人。不審者じゃないから、縄を解いて。」
「同居人？俺は聞いてないんだけど。」

と、色々あって数分後、なんとか誤解は解けて慧は解放された。

「…まぁ色々あったけど、こいつは俺の弟の涼介。偶に料理とか作ったりしてくれる。それで、こっちが慧。最近のことだから言い忘れてたけど、新しく一緒に暮らすことになった同居人。」
「はじめまして涼介。」
「どうも。…勘違いしてすみません。」

慧が俺以外の人と会話するのは不安だったが、俺が大学の講義を受けてる間に慧が暇潰しで見てたテレビや本のおかげで、基本的な挨拶はできるようになってたらしく安心した。

「ところで慧さん。」
「どうかした？」
「慧さんの苗字は？普通、初対面の人にはフルネームで自己紹介すると思うんだけど。」
「みょ…うじ？」

慧が首をかしげる。

それにしてもしまった。そこまで考えてなかった…。涼介は昔から勘が鋭かったけど、ここまで鋭いとは思わなかった。

えーっと…。そうだ！

「あ、有岡だよ。有岡慧って名前だよ。」
「同じ有岡さんと同居なんて、偶然にしては出来すぎだね。」
「あの…有岡同士だから、話すようになったって感じで……。」
「ほんと？」
「あ、あはは〜。」
「俺たち双子だろ？大ちゃんの嘘を見破ることぐらい朝飯前なんだけど。」
「さ、さすが涼介。」
「本当のこと、さっさと言ってもらおうか。」

こうなったら、言うしかないか…。

「わかった。その代わり、他言無用な。」
「わかってるよ。」

こうして、俺は慧のことを話すことになった。