Doll with a heart (ページ14)

今日:36 hit、昨日:13 hit、合計:26,756 hit

◆ ページ14

「さすが俺。今回もいい感じだ。」

涼介が自画自賛している。しかしその一方で、何も言わずに１点を見つめている慧。

慧が見つめているのは、ワンピースの柄に使われているひまわり。

「慧、どうした？」
「ひま…わり。」
「そうだよ。ひまわりだよ。」

ひまわりなんてよく知ってるな。またテレビ情報かと思っていると、突然慧が俺を抱きしめた。

「け、慧///」

なにも言われずに抱きしめられると、また前みたいに心拍数が上がっちゃうだろうが///

…あれ？なんか前と違う？

「慧？」
「・・・」

前みたいにギューッと抱きしめる感じじゃなく、なんだか弱々しい気がする。

「慧さんどうかしたの？」
「慧、なんかあった？」
「ごめん。よくわかんない。ひまわり見てると、ここがギューって苦しくなる。」

そう言って慧は胸のあたりに手をあてる。
少し離れて顔を覗き込むと、とても悲しそうな顔をしていた。
人形じゃなければ、涙が溢れてしまいそうなぐらいに。

「ご…めんね。」
「慧？…慧、どうした！？」

慧は、一言謝るとゆっくりと目を閉じた。

「あれ？慧さん寝ちゃったの？」
「人形は寝ないって言ってたはずなんだけどね。」

俺はそう言いながら、慧をソファーに寝かせた。

「ごめんね。なんか、変な空気にしちゃって。」
「いや、涼介のせいじゃないよ。」
「ひまわり…。慧さんとなにか関係あるのかな？」
「…わかんない。」

考えてみたら、俺は慧のことを全然知らない。なんで感情を持ってるのかも。なんでここに来たのかも。慧とひまわりの関係も。

慧が起きたら聞いてみよう。