ただ、君だけ。〈番外編〉(ymin)

【末っ子は、お兄ちゃんたちが大好きです】 ページ20

あれはいつのことだったかな。
まだ、涼介といのちゃんが付き合う前のこと。
いのちゃんのことを助けるために、涼介とテレビ局中を駆けずり回ったよね。
その時にした約束、覚えてる？


いのちゃんに、たくさん白いご飯を食べさせてあげようねって。
涼介の奢りで、って。
あの時の、軽いノリのような約束は、まだ果たせてない。


だって、いのちゃんが。
あんな風に、ご飯を食べられなかったり、僕たちのことを怖がるようになっちゃうなんて、思わなかったから。
もっと早く、いのちゃんを助けてあげられてたら。
駆けつけてあげられてたらって。
涼介も後悔してたけど、僕だって、同じ悔しさを味わったんだよ。


男の人が怖かった、いのちゃん。
正直僕は可愛いから、怖がられないんじゃないかなって思ったのに。
僕のことまで怖がっていたいのちゃんに、寂しくて切なくて、でも同時に驚いて。


いのちゃん。
僕のこと、ちゃんと男だと思ってくれてたんだね。
こんな形で知るなんて思わなかった。
みんな、マスコット扱いだったりするし、僕もそのポジション楽しんでるし。
だから、びっくりしちゃったよ。


そーゆーとこ、大好き。
面白くて可愛くて、人のことちゃんと見てくれる。
もちろん、涼介とは違う意味で、だよ？
またくっつけるようになったの、すごくすごく嬉しかったよ。




今は涼介のお陰で、治ったいのちゃん。
実はね。
何となく付き合うようになるんじゃないかなって思ってた。
お互いが大切すぎて、踏み切れないんだなって。


僕、よっぽどお節介やいちゃおうかなと思ったよ。
でも、出来なかった。
圭人も頑張ってくれてたしね。


涼介は、たくさん考えてたと思うんだ。
いのちゃんを助けようと、ストーカーを蹴り飛ばしてたとこ、実はすごくカッコよかった。
いのちゃんのこと、最優先してた。
自分を後回しにして、大切な人を守ろうとするの、涼介のいいとこだよね。
僕はそんな涼介が大好きだよ。




他のみんなのことも、僕は大好き。
当たり前だけどね。
今回のことで、本当にそう思ったんだ。


だから。


ねぇ、みんな、知っていてね。
僕、ただ可愛がられてるだけじゃないからね。
僕だって、みんなのために何でもする。
みんな、僕にとってはお兄ちゃんみたいな、そんなメンバー。


みんなのことを、僕も守りたいんだ。


いや、守るから。


僕はみんなの味方だから。


だから、たまには頼ってよ。


大好きな、お兄ちゃんたちへ。









END.

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