#02 救済 ページ7
“収録が終わったら、一緒におれの家に来て。
……全部、話すから”
暫くして泣き止んだ伊野尾ちゃんがそう言って、顔を洗って収録へ向かった。
俺の方も時間が迫っていたため自分の現場に入ったが、やはり先程までのことがどこか気になり、完全に集中出来なくて。
それでも滞りなく何とか収録を終わらせ、マネージャーの車で、同じく終わった伊野尾ちゃんと２人、送ってもらう。
伊野尾ちゃんの家でと言った時には驚いていたみたいだったが、深く聞かずにいてくれたのは流石とも言えた。
お邪魔します、と家に上がらせてもらう。
伊野尾ちゃんの家は初めてだ。
とても綺麗な、というよりあまり物が置かれていない。
「お茶でいいかな」
「あ、うん、ありがとう」
沈黙が流れる。
気まずくてお茶を飲む。
また沈黙。
お茶飲む。
……この連鎖前にも経験あるぞ。
でも、どう切り出していいのか分からない。
確かなのは、伊野尾ちゃんの話が、とても重いものであるに違いないということ。
「……おれ、食べることが好きだった」
伊野尾ちゃんが、静かに口を開いた。
ゆっくりと、言葉を選ぶような様子に、口を挟んではいけないと分かる。
「小さい頃から、ずっと。
めちゃくちゃ美味しいもの、食べたくて。
事務所に入ったのもそんな理由だった」
知ってると思うけど。
って、苦笑いを浮かべる伊野尾ちゃんに、頷くだけの返事を返す。
「最初は本当に楽しかった。
活動もそうだし、ジュニアの仲間もすごくいい人ばっかしだし。
デビューしてからは、ずっとメンバーがいた。
支えてくれるスタッフさんたちがいた。
何より、ファンのみんながいてくれた。
JUMPでおれが全然注目されてない頃も、ずっと。
おれ、その人たちのためにも頑張ろうって思ってた。
……でもね。
おれ、間違えたの」
「……間違え、た？」
「おれが……思わせ振りな態度をしたんだって。
だから、本気の恋をしちゃったんだって。
おれに、自分を見て欲しくて、だから。
“命を救えば、私に感謝して、私だけのものになってくれる”……そう思ったんだって」
ーーーえ？
「命を、救えば、って……」
「……おれってほんと、バカでさ。
スタッフさんと、全然知らない人の区別つかなかったの」
そんなこと、ありえるのか。
ドラマじゃあるまいし。
そう思った。
でも、伊野尾ちゃんの瞳に、徐々に涙の膜が張っていくのを見て。
現実に、起きたことなんだ、と感じた。
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りりた(プロフ) - shootingstarhapさん» ずっと応援していただきありがとうございました。コメントがとても励みになっておりました。長いこと更新を停めてしまうこともあったにもかかわらず、本当に嬉しかったです。少しでも、楽しんで頂けたなら幸いです。本当にありがとうございました！ (2020年6月16日 18時) (
レス) id: bd2ed28c98 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新心待ちにしていました…！嬉しいです！今回もボロボロに泣いてしまいました…伊野尾さん、食べれて良かったです…。本当に良かったです。素敵なお話しありがとうございます！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！皆の所に元気に戻ってきてくれて本当嬉しいです！りりたさんのお話しまた楽しみに待っています！ (2019年11月11日 16時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - やっと思いが通じ合って嬉しいです。大好きな作品です。切なくてもどかしくてどうなるのかと思ってましたけど嬉しい展開でまた好きになりました。いつもありがとうございます。 (2019年6月30日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - りりたさんの更新待ってました！お忙しい中ありがとうございます！(^-^)本当良かったって最新のお話し見て物語に入り込みすぎてて泣いてしまいました…。りりたさんのお話しは本当素敵でよく泣いてしまいます。またお話し楽しみに待っています(^-^) (2019年6月30日 16時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
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