#03 同居 ページ13
「ごちそうさまでした」
「はーい！
どうだった？鯖の味噌煮！」
「うん、美味かったよ」
「よっしゃ！」
素直に味の感想を伝えれば、やまだが小さくガッツポーズをした。
それが、なんだか可愛くて思わず笑みがこぼれた。
やまだの家に同居というか、居候というか、を始めてからというもの。
こうして、やまだに作ってもらった料理を、おれは食べている。
恐怖は消えていない。
おれが食べる前に、やまだは目の前で食べてみせてくれて、大丈夫だよ、と言い聞かせてくれる。
そうしないと、いくら頑張って口に入れても吐いてしまうから。
やまだがせっかく作ってくれたものを、そんな風にしたくないのに、でも身体が言うことを聞いてくれない。
それが、今のおれの状態。
誰にも言えなかった秘密。
今では、唯一やまだだけが知る、おれの秘密。
あの日おれが、助けを求めたから。
やまだは、迷惑だろうに。
こんなおれに付き合って、ご飯をわざわざ作って、食べられるように気遣って……。
「やまだ……ほんとに、ごめんね」
「……もー、また？
この数週間で何回言うのよ」
「だってさぁ……」
「だってもクソもないっての、俺も毎日楽しんでんだって！
食べてくれる人がいるって作りがいがあってマジいいね」
一緒に洗い物と片付けをしながら、毎度の流れのように謝れば、やまだがサムズアップして笑ってくれた。
いいねの記号のつもりみたい。
ふふ、やまだ、ほんと優しいね。
「にしても今日仕事早く終わってよかったー！
気合い入れて飯作れたわ」
「収録サクサク進んだもんねぇ」
「ね！JUMP全員いるとマジでお喋りし過ぎて時間押すパターンあったりすんじゃん？
そーゆーのも無くてね！
お喋りは超しまくったけど」
「ふふ、大ちゃんと光が仕事入ってたのもあるよね？
だって今まだ９時前だもん、晩ご飯食べ終わってんのに」
時計を見ながら言えば、やまだが確かに早い！と相槌を打った。
それから、少しの思案顔。
なんだろう、と思いつつ最後の食器を乾燥機に入れた。
慣れたようにスイッチを押すと、ブィーンと動き出す。
やまだの家の物は大体把握してしまった。
好きにしていいよと宛てがわれた元ゲストルームも、結構おれの物が置いてあったりして。
もう完全におれの部屋みたいになっちゃった。
なのにやまだは、嫌な顔１つしない。
初日からずっとそう。
優し過ぎて、泣いちゃいそうだ。
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りりた(プロフ) - shootingstarhapさん» ずっと応援していただきありがとうございました。コメントがとても励みになっておりました。長いこと更新を停めてしまうこともあったにもかかわらず、本当に嬉しかったです。少しでも、楽しんで頂けたなら幸いです。本当にありがとうございました！ (2020年6月16日 18時) (
レス) id: bd2ed28c98 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新心待ちにしていました…！嬉しいです！今回もボロボロに泣いてしまいました…伊野尾さん、食べれて良かったです…。本当に良かったです。素敵なお話しありがとうございます！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！皆の所に元気に戻ってきてくれて本当嬉しいです！りりたさんのお話しまた楽しみに待っています！ (2019年11月11日 16時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - やっと思いが通じ合って嬉しいです。大好きな作品です。切なくてもどかしくてどうなるのかと思ってましたけど嬉しい展開でまた好きになりました。いつもありがとうございます。 (2019年6月30日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - りりたさんの更新待ってました！お忙しい中ありがとうございます！(^-^)本当良かったって最新のお話し見て物語に入り込みすぎてて泣いてしまいました…。りりたさんのお話しは本当素敵でよく泣いてしまいます。またお話し楽しみに待っています(^-^) (2019年6月30日 16時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
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