＊ ページ11
「っく、うっ、ぐす、ひっ、」
「……伊野尾……ちゃん……」
「ッごめ、っ、めん……ッ」
「な、んで謝んの……」
「だ、って、こんなの、誰も、マネージャーにも、隠してたこと、だったのに、」
「マネージャーにも？
……まさか、事件後のトラウマのこと、ずっと、隠してたの……？
１人で、ずっと、抱えてたの……？」
小さく、こくん、と頷いたのを見て、自分の不甲斐なさへの怒りがふつふつと湧き上がる。
どうして、もっと早く気付いてあげられなかった。
１番大好きなものを奪われた彼の苦しみに。
そのつらさに。
遅くなったけど、ねぇ伊野尾ちゃん。
俺も一緒に、その苦しみに向き合わせて。
気付けばまた、身体が動いていた。
涙を拭う、伊野尾ちゃんの綺麗な手を優しく掴むと、ゆっくりと下ろさせた。
両手で伊野尾ちゃんの頬を挟めば、突然の俺の行動に驚いた伊野尾ちゃんの目がぱちぱちと瞬く。
その拍子に、伊野尾ちゃんの大きな瞳に溜まった涙は零れ落ちて、俺の手を濡らした。
「あ……っ、」
手が濡れてしまったことを申し訳なく思ったのか、伊野尾ちゃんの声が漏れる。
反射的に伊野尾ちゃんの手が俺の腕のあたりを掴んだのは、外そうとしたからか。
でももう、そんなことはどうでもよかった。
ただ、真剣に。
伊野尾ちゃんの瞳を真っすぐ、見つめて。
「伊野尾ちゃん……俺と、一緒に暮らそう」
そう、伝えた。
伊野尾ちゃんは、当然の如くぽかんとした表情。
「……ほぇ……？」
「俺が、ご飯を作るよ。
同じお皿によそって、俺が先に食べて、何も入ってないよって教える。
そうしたら、安心してご飯を食べられる。
そうだよね？」
「そ、れは……」
「伊野尾ちゃんが好きなものを作る。
食べたいなと思ったものを作る。
少しでも、美味しいと思ってもらえるものを作る。
食べることが、ほんの少しでも……楽しいと、思えるものを」
驚くと涙が止まるというのは本当らしい。
現に、今伊野尾ちゃんの涙は完全に止まっていて。
むしろ呆気に取られている。
「な、に、言ってるか、分かってる……？
やまだに、どんだけの負担がかかると思ってんの……？
そんなばかなこと、出来るわけな、」
「やってみなくちゃ分かんないだろ。
健康補助食品だけじゃ、絶対身体壊す。
あーゆーの、あくまで補助なんだから。
食材をちゃんと食べなきゃ、本当にもたないよ。
そんなの、俺も嫌だけど伊野尾ちゃんだって嫌でしょ」
「そう、だけど、でもおれ、」
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りりた(プロフ) - shootingstarhapさん» ずっと応援していただきありがとうございました。コメントがとても励みになっておりました。長いこと更新を停めてしまうこともあったにもかかわらず、本当に嬉しかったです。少しでも、楽しんで頂けたなら幸いです。本当にありがとうございました！ (2020年6月16日 18時) (
レス) id: bd2ed28c98 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新心待ちにしていました…！嬉しいです！今回もボロボロに泣いてしまいました…伊野尾さん、食べれて良かったです…。本当に良かったです。素敵なお話しありがとうございます！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！皆の所に元気に戻ってきてくれて本当嬉しいです！りりたさんのお話しまた楽しみに待っています！ (2019年11月11日 16時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - やっと思いが通じ合って嬉しいです。大好きな作品です。切なくてもどかしくてどうなるのかと思ってましたけど嬉しい展開でまた好きになりました。いつもありがとうございます。 (2019年6月30日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - りりたさんの更新待ってました！お忙しい中ありがとうございます！(^-^)本当良かったって最新のお話し見て物語に入り込みすぎてて泣いてしまいました…。りりたさんのお話しは本当素敵でよく泣いてしまいます。またお話し楽しみに待っています(^-^) (2019年6月30日 16時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
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