第２章：外出 ページ5
「……今日も来たんですか。
小山内さん、暇ですね」
「暇ではない。
お前がやらかした事件の後処理がつい先日終わったばかりだ。
それに、お前はいつ逃げ出すか分からない」
そう言って、眉間に皺を寄せる小山内さんに、ベッドに座ったままの俺は、そうですか、と微笑んで見せた。
病室で目覚めてから、２か月。
俺の傷は、もう殆ど完治していた。
なのに病院を追い出されないのは、俺が逃げるかもしれないことと、住むところがないことが理由。
まぁ、俺が逃げたところで、捕まえる人は俺の生存を唯一知る小山内さんしかいないけど。
目覚めた日に、小山内さんから聞いた話。
それによると、この事件にまつわる全ての捜査は既に打ち切りになったらしい。
俺の、殺人も全て。
川野瀬猛と、母さんを殺したのは紛れも無く俺で。
だけど、警察が俺に辿り着くことは、もうない。
俺にはパーソナルナンバーが無い。
だから、いくら指紋を調べても俺の情報は一切出てこない。
指名手配をしようにも名前すらない。
母さんを殺した時にかけた上着に残っていた俺の血液も、母さんの血液と混ざって鑑定できなかったようだ。
万が一検出できても、友哉はもう存在しないのだから、捜査は先には進まない。
警察もいつまでも亡霊を追いかけているわけにはいかないから、捜査は打ち切り。
まだ、鬼塚さんだけは必死に追いかけてるみたいだけど……。
たとえ鬼塚さんでもたぶん、辿り着けない。
俺も驚いたけど、新一くん、俺のこと全然話さなかったんだって。
理由は……分からない。
だから、俺は罪に問われていないらしい。
これだけのことして無罪放免って、やっぱりこんな制度を施行してるこの国はイカれてるね。
「逃げ出しても捕まらないなら、逃げる意味もないじゃないですか。
心配しなくても、逃げませんよ」
「分からんだろう。
誰もお前の行動は読めない」
「大丈夫ですって。
第一、一体どこに逃げるって言うんですか。
俺アパートも借りられないんですよ？」
もう１つの、住むところがないから、という理由。
パーソナルナンバーを持たない俺には、賃貸契約も結べない。
こうなる前に住んでいたアパートだって、母さんの名義だから住めていたわけで、今あのアパートは、母さんの遺産を相続した息子の新一くんのものだ。
まだ、残してあるらしいけど。
まさか住むわけにいかないでしょ。
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りりた(プロフ) - 冬さん» ありがとうございます、なんとか時間を作って更新したいと思います、今しばらくお待ち下さい。 (2018年11月29日 18時) (
レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
冬 - とても面白いです！！！続きが気になります！！更新頑張って下さい！！！ (2018年11月29日 1時) (レス) id: 6f8cf75a15 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 白米プリンスさん» コメントありがとうございます、気付くの遅れてすみません…！ありがとうございます！そし誰見返す度に日下ロスに陥り、とうとう妄想を始めてしまいました(笑)ちょっとずつ頑張りますので、宜しくお願いしますm(_ _)m (2017年9月21日 9時) (レス) id: 068b0a2ee5 (このIDを非表示/違反報告)
白米プリンス(プロフ) - まさか「そし誰」の続きがりりた様の作品で読めるなんて…！ただいま絶賛感動中でございます。そしてバーテンダーの伊野尾様を思い出して悶える始末です(ただの変態)これからは更新の通知が来る度飛んで来ようと思います笑 (2017年9月12日 17時) (レス) id: bc3c2630ce (このIDを非表示/違反報告)
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