THE SECRET NIGHT(cmgk=ymin)

＊ ページ15

辿り着いた５階建てのビル。
任務は、ここにいる人間全員の暗殺。
裏口から侵入し、視界に入る人間を静かに倒していく。
まだ気付かれてはいないようだ。
自分の位置を確認しながら敵を制圧し、１階、２階、３階へと辿り着いた。


「人数は10人いないくらいってことだけど……」


……おかしい。
とっくに10人超えた気がするが。
情報に間違いがあったのか。
時々そういうとこあるよなあのボス……。
１人でこの人数相手にするの、なかなかしんどくなってきましたけど。


「何者だ！」
「！？」
「おい！止ま……っぐぁ！！」
「報告しにいけ！！」


４階に続く階段を上がった瞬間に鉢合わせた敵３人。
普段なら即倒しているのに、考え事してた油断とここまでノンストップで来た疲れからか、１人逃してしまった。


くそ……！！


ビーッ、ビーッ


アラームが鳴った。
ビル内のセキュリティがONになったということ。


気付かれた。


ここからは一気に攻めていくしかない。
４階の敵を一掃し、最後の５階へと差し掛かる。
相手も一般人というわけではない。
不意討ちで殺れたここまでとは違い、敵もナイフや拳銃を持ち出して俺に襲いかかってくる。


「殺せええええええ！！！」
「ッ……！」


避けきれずナイフが頬を掠める。
ソイツを斬り伏せれば、ソイツの背後から別の奴の銃口が向けられる。
ギリギリでしゃがみ避けたものの、今度は左肩の辺りを掠めた。
意外に深かったらしく、出血が止まらない。


「やべぇ……！！」


肩を抑えながらも目の前の奴を斬り、一旦階段を駆け降りて３階まで戻り、適当な部屋に飛び込んだ。


「チッ、どこ行きやがった……！」
「探せぇ！！」


廊下を走っていく男の声。
ひとまずやり過ごしたものの、余裕はなかった。


痛みの増す左肩。
出血を止めるため、服の一部を切り取り圧迫する。
左ではセイバーを扱うのは難しい。
鞘に戻して、右手のセイバーだけを握りしめる。


「はは……二刀流の使い手が聞いて呆れる……」


渇いた笑いがこみ上げる。


……このままでは任務はおろか、逃げ切れないかもしれない。
突然のこととはいえ、もっと準備をしておくべきだった。


見つかれば殺される。
もう、時間の問題だ。
俺は……ここまでなのか。
仲間に内緒で独りで任務に行って。
そしてここで……独り、死んでいくのか。


悪い想像ばかりが頭に浮かぶ。
もうダメかもしれない。


諦めかけた、その時だった。

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