逢いたくて。(tkin) ページ45
3月26日0時0分。
スマホに映る時計が、そう示した瞬間に電話が鳴った。
着信相手は、俺の、愛しくて堪らない恋人。
「……もしもし？」
《も……し、もし？たかき？》
「うん。
ラジオお疲れ様」
《ほぁ？あ……ありがとう、聴いてたの？》
「聴いてたよ。だから、待ってた」
伊野尾くんからメールが来るんじゃないかと思って。
そう告げたら、言葉に詰まったみたいで、顔が真っ赤になってるのが想像がつく。
今日の生放送のラジオ、最後の最後で俺の誕生日について話題が出て。
０時ぴったりに泣かせるメールを送るって言ってたのに。
そしたら電話なんて、可愛いな、伊野尾くんは。
《ッ……メールにしようと思った、思ったよ？
でも、なんか……声、聴きたいなぁって……なって……》
「うん、すごく嬉しい」
《……そう……？》
「当然でしょ」
《……そっ、か……えへへ》
小さく笑う声。
あぁ、見逃しちゃったな、その顔。
ラジオの後、伊野尾くんに仕事がないのはマネージャーに確認してて。
だから、今伊野尾くんは家にいるはず。
会いに行ってしまおうか。
スマホを肩で押さえながら、コートを取り出して着込む。
車のキーを取って、それで。
「ねぇ、伊野尾くん、今家にいるよね？」
《え、あの……》
「あ、もしかして外？どこにいる？」
煮え切らない返事。
もしかして出掛けてるのか。
そういえば、微かに環境音が聞こえてくる。
《えっと、その……》
「……伊野尾くん？」
返事がなくて、外に出るのを躊躇う。
もしかして急に仕事とか入ったり？
んなワケないよな？
《じ、実は……》
ウー、ウー、ウー、……
「え」
伊野尾くんの電話から、聞こえてくるサイレン。
それは、今俺の家のすぐ外を通ったパトカーと同じタイミング。
まさか。
バタバタ、ガチャンッ。
「《……声、聴くだけだと絶対逢いたくなる、から……もう行っちゃお、って、なった……》」
「伊野尾、くん……」
ドアを開ければ、そこには。
スマホ片手に顔を赤くして立つ、彼がいた。
動きが固まる。
幻じゃ、ないよね？
確かに今、伊野尾くんが目の前に、いる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 690人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りりた(プロフ) - まみさん» こんにちは、りりたです。小説が完成しましたので移行先にてお読みいただけますと幸いです。宜しくお願い致します。 (2017年4月4日 17時) (
レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
まみ - ありがとうございます。嬉しいです。 (2017年4月4日 9時) (レス) id: 2d32cf5372 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - まみさん» かしこまりました。こちらのページが現在いっぱいになってしまいましたので、移行後に書かせて頂きたいと思います。少々お待ち下さい。 (2017年4月4日 0時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
まみ - できれば家に帰ってから嫉妬するという感じがいいです。でもどんなやまいのも好きなので何でも大丈夫です。 (2017年4月3日 23時) (レス) id: 2d32cf5372 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - まみさん» たくさんいらっしゃる素晴らしい占ツクの作者様の中から、お選び頂いて、こうしてリクエストして頂けることは光栄なことだと思います。リクエストの、事件をやまいので、というのは芸人さんを山ちゃんに置き換えてということですか？ (2017年4月3日 13時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りりた
| 作成日時：2016年12月2日 4時
