第196話 ページ19
「…わかりました。忘れます。って、いうか本当に大切なんですね。仲がいい……」
「……うん…………大切だよ。すっごくね………………」
「?」
可笑しな所で切って小さく笑った萩原はただ静かに思い出すように告げる。
「そのさ、行方不明になった子さ、俺の好きな子なんだ」
「え……」
何を言っているのか、よく、理解ができなかった。
言葉を飲み込む前に萩原は続けて言った。
「……ごめん忘れて、なんでAちゃんにこんな事言ってるんだろう。やっぱり似てるからなのかな?墓場まで持っていくつもりだったのに」
(え……)
今までそんな素振りは一度も……
「ごめんおっさんのこんな話聞かされても気持ち悪いだけだよね、あっちょっと待って自分で言って傷ついた」
「………………その雪平さんは松田さんの彼女なんですよね」
声が震えそうになる。
「ちょっAちゃんは気にしなくていいんだよ!?…もしかして泣いてる?」
「ごめっ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
何故だかわからないこの感情を整理する前に涙が溢れて目からボロボロと落ちていった。
「Aちゃんが謝ることはないんだよ。俺が勝手にさ、好きなだけなんだから。Aちゃんは優しいね」
優しいわけがあるものか、こんな残酷な女何処にいる。
萩原は私を優しく宥めて残り時間が迫っていることを教えてくれた。
すでに解体し終わったガラクタの向こう側では工藤と服部くんが何かあったのかと私を気遣わしげに見ていた。
涙を拭って爆弾と向き合う。
「出来そう?」
「…はい……」
カッターを持ち直して刃をカチカチと出す。
今の私に萩原にかけられる言葉などなかった。
私はただ現実逃避をするように解体を進めた。
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黒木(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます、一気読み!?嬉しいです、今後とも本作をよろしくお願いします! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - りーさん» ありがとうございます、嬉しいです。更新致しました、読んでいただけたら幸いです、 (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - リオさん» こちらこそコメントありがとうございます!正解です!!キャラが関わるほどではなかったのでクロスオーバーのタグ等はないのですが、誰か気がつかないかな〜なんて思って書いたんです。ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - もってり子さん» ありがとうございます。嬉しいです、更新致しました、楽しんでいただけたら幸いです! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 液体さん» コメントありがとうございます!更新致しました、読んでいただけたら幸いです (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年8月23日 17時