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「Aさんから電話、来たんですかィ」
「あ?…」
食堂にかかっている時計を見ると針は7時半を差していた。
「まだだ。9時っつってたか」
「…そーですかィ」
「どうした、心配でもしてんのか」
「馬鹿正直なAさんがあんな焦らすような真似するなんて珍しいと思いやして」
「焦らすっつうかあの場で言えなかっただけじゃねェのか…?」
どちらにせよ、様子がおかしかったのは確かだ。
総悟の言う通り
馬鹿正直で
デリカシーが無くて
都合のいい時しか見栄を張らないようなAが例え大事な事だったとしても時間を指定してまで伝えないのはすこし気がかりだ。
「(何考えてんだ、あいつ…)」
*
Aside
「うわ、モノホンの将軍様だ」
「うるさい飯田」
いよいよ会合が始まろうとしていた。
といっても、私たち護衛は外で待っているだけだが。
将軍様を見て騒ぐ飯田の足を踏みつけながら会合が終わるのを待った。
時刻は7時、約束の時間まで2時間だ。
気分屋の上様のことだから、何も話せずこのまま分かれてしまう事だって有り得る。
「そういや俺たちが上様に引き抜かれた理由、知ってる?」
「そりゃ、私らの剣術が上様の護衛に向いてたからでしょ?」
「そうじゃなくて根本的な話。
そもそもなんで上様に護衛が必要かって事だよ」
「まあ確かに…狙われる事も、人を引き抜いてまで護る様な人でもないよな…」
「あの人はただの我儘な坊ちゃんだからね。
ただ、親が相当な悪代官だったみたい
自分が起こした不祥事は住人に擦り付けて死刑にさせたり、闇取引の証拠隠滅に村1つ丸々燃やしたりね
結局、攘夷浪士に暗殺されたみたいだけど。」
「それでも恨みが晴れない奴が子供にまで復讐しようっての?」
「そゆこと。数え切れないほどの因縁親に押し付けられて何もしてないのに命狙われてるんだから、坊ちゃんにしては上手くやってる方だと思うよ」
随分難儀な話だ。
親のせいで、死ぬまで数え切れない浪士に恨まれ狙われるんだから。
「(それで、引き抜かれたってわけか…)」
聞かされていなかった、という事は上様も秘密にされていたのだろう。こんな話、浪士に同情してしまってもおかしくない。
「…てか、なんであんたは知ってんの?」
「街で甘味処のお姉さんが教えてくれた」
「口の軽いお姉さんだこと」
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阿呆代表の神(プロフ) - なんやねんこの凄い作品は。有料でも良いくらい素晴らしい作品。 (2021年3月9日 21時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです( ; ; )更新頑張ってくださいーー! (2021年2月1日 1時) (レス) id: e52e19fe2f (このIDを非表示/違反報告)
れんか - めっちゃ面白い(笑)更新頑張ってください! (2021年1月29日 11時) (レス) id: b5b9f86a00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちーずなん | 作成日時:2021年1月28日 23時