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そーっと屋上のドアを押せばぎい、と開く。
鍵はあいてるからまちがいない。
やっぱり、こんなとこ来るのはテヒョンしかいない。
覗き込めばひょこひょこ動く茶色い頭が見えてひと安心する。
まだあと10分ある。大丈夫だ、間に合う。
「テヒョ」
声をかけようとしたけど音楽に気づいて辞める。
ずっと躍ってたのか、ここで?
遠くから見てもわかる。
その顔は苦しそうに歪んでて、見ていられなくて飛び出す。
「テヒョン!」
「Aひょん…?」
「テヒョン…」
泣きそうな顔で見上げられて、肩で息をするテヒョンに何も言えない。
いつも余裕そうに笑ってるように見えるけど、人一倍頑張り屋なんだ。
かっこよくなりたい、もっと上手くなりたいって。
メンバーみんなそう。
ひとりで抱え込んじゃうこともある。
もっと頼って欲しいのに。
僕らは本物の新しい家族なんだ。
「テヒョン、ヒョンはお前のダンス大好きだよ。」
「ヒョン…」
「だから俺と一緒に踊ろうよ。1人で踊るより、みんなで踊った方が楽しいでしょ?
テヒョンが怖くなった時、不安になった時、俺が一緒に踊るから。
だからテヒョン、そんな顔するなよ〜」
目には涙が溜まってて、落としちゃダメだぞーとそっとティッシュで拭う。
「チウンヌナに怒られるぞ〜」
「それはやだ…」
「ほら、もう始まるんだぞ、遅刻する!」
すうっと息を吸い込んだテヒョンはひひひ、と口を四角くして笑った。
「ヒョンがビリだよ!」
「あ、こらまて!」
走り出したテヒョンを追って走る。
すれ違いざまに聞こえた言葉にニヤニヤが止まらない。
これからもっと頑張ろうな。
大変なこともあるだろうけど、
きっとテヒョンなら大丈夫だよ。
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『ヒョンだいすき』
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