となりの席の坂田くん。【あほの坂田。】

thirty one. ページ33

『え？』


頭にはてなマークが3つ浮かぶ。

そんな私を横目に、坂田は窓に手をかけた。

｢あれ、ここやなかったっけな｣なんて言いながら、いくつもの窓に手をかけていく。

その中でひとつだけ開いている窓を見つけると、｢おーあったあった｣と全開にし、校舎内へ入っていく。


坂｢齋藤もはやく！｣


そう言い、私に手を伸ばしてきた。


聞きたいことはいくつもあった。

どこに行くつもりなのか、どうして窓が開いてるのか…。




でも彼の悪戯が成功したような顔を見てると、なんだかわくわくしてきて。

彼の手を取り、真っ暗な校舎へ足を進めた。









ケータイのあかりを頼りに上へ上へと進んでいく。


『ねえ、一番いいところって…』

坂｢うん！屋上！｣


清々しいほどまんべんな笑みを浮かべる彼。








が、少し気になったことがある。


『鍵、かかってない…？』

坂｢…へ？｣


屋上の扉にたどり着き、ドアノブをひねると




ガチャ




嫌な予感は的中。

扉には鍵がかかっていた。


顔が一気に青ざめる彼。


この状況は一番ヤバイだろう。

どうしよう。今から外に出ても時間的に間に合わない。

かといってずっとここにいても花火は見れない。


2人とも絶望状態におちいり、口を閉ざす。









セ｢何してはるん？坂田は。｣


声が聞こえた。

それは私でも、坂田でもない声。

京都独特の訛りに、少し高めのゆったりした声。



坂｢センラくん、？｣


どうしているのかなんてもちろん分かるはずもない、が、間違いなくそこにはセンラ先生が立っていた。


セ｢鍵くらい用意せんとかあほちゃう？｣


そう言って先生は、右手に振り回してた小さなものを坂田めがけて投げた。

驚きつつもなんとかキャッチした坂田。

それは鍵だった。




セ｢はよ開け。もうそろそろ始まんで。｣



そう言って少し得意げに笑う。



坂｢〜っセンラくんありがとう！！｣



坂田はもらった鍵で扉を開け、私の手をつかんで屋上へと飛び込んだ。


セ｢齋藤さん言ったやん先生〜ちゃんと"2人きり"って。｣



口角を上げる先生に、やっとジンクスの意味がわかった。









『センラ先生！！ありがとう！！！』


先生はひらひらと軽く方手を振った。

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