となりの席の坂田くん。【あほの坂田。】

twenty nine. ページ31

文化祭は大盛りあがりだった。


一日目は部活のみんなと、2日目は浦田たちとまわった。

お化け屋敷や屋台、喫茶など、時間の限り全部まわって、思い切り楽しんだ。


クラス企画も予想以上にたくさんの人が来てくれて、忙しかったけどこれ以上ないってくらい楽しかった。

こんなにも楽しかったのは間違いなく坂田の影響があるんだろう。




2日目の3時半、一般公開終了の時刻を知らせるチャイムが鳴り、一般の人達は速やかに学校を出て、生徒たちはクラス企画の片付け、後夜祭の準備をはじめた。


後夜祭は軽音部や3年生の有志グループがパフォーマンスを行う。

文実の後夜祭係がメインで準備を行うが、人手が足りないので私と坂田も呼び出された。


あと一時間後くらいには坂田の隣で後夜祭を楽しんでるのかな、と思うと、嬉しくて顔に熱が集まる。

そう思うと準備も頑張れた。




ギリギリになったが、無事準備を終えた。

時計は6時を指している。

生徒を体育館内にいれ、照明を落とし、ドラマーのスティックを叩く音を合図に後夜祭がスタートした。







が、肝心の坂田が見当たらない。

まわりをみまわすが、暗いし、人が多くて見つけることが出来ない。


その時、ふいに腕を掴まれた。

びっくりして振り向くと、


坂｢見つけた。｣


そこにはずっと探していた坂田の姿があった。

暗くてよく見えないが、少し息切れをしているようで、


(一生懸命探してくれたのかな)


なんて都合のいい期待を抱く。


坂｢…こっち。｣




掴まれた腕からドキドキが伝わらないように、いやでもやっぱり少し伝わって欲しいような、そんなもどかしい気持ちを抱きながら彼に手を引かれていった。

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