オレとオマエ、睨み合い中。【青】 (ページ7)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:34,301 hit

運命の捻れページ7

阿部ちゃんはこの店員と仲がいいのか。

しばらくすると、店員はこちらを向き直す。

「あー…柳瀬、つったっけ？」

『…はい』

「行くぞ」

『はい？』

さっきからこいつの印象が悪すぎて、上手くやって行ける気がしないのだけれど。

阿部ちゃんに？の目線を送ると、ご丁寧にウィンクまでつけて親指を立てた。

阿「…A、ほんとに気が付かないんだね」

『え、なにが？』

阿「いや、なんでもない！」

なぜか私は部屋の鍵を渡されないまま、ずんずんと先を行く店員を阿部ちゃんと一緒に追いかけた。

時刻は17:30、少し早めの御飯時である。

『阿部ちゃん阿部ちゃん！』

阿「ん？」

店員を追いかける最中、阿部ちゃんにこそっと話しかける。

『あのさ、阿部ちゃんはあの店員とどういう関係なの？』

阿「ふふっ、知りたい？」

『え？そりゃあ…だって、あのお店の張り紙阿部ちゃんが書いたものでしょう？』

阿「そうそう。うーん…まぁ、もう少しで分かるよ」

そうやっていたずらそうに微笑んだ。

･･･

辿り着いたのは、鉄板焼き屋。店員は別の人と一言二言交わすと、席へ案内された。

「よっ」

「おっ、勢揃いじゃ～ん！」

先に座っていた髪の毛がピンクのチャラめな男性が、気分良さげに話した。

阿「ほら、おいで」

阿部ちゃんは隣の席をぽんぽんと叩く。

状況が全く理解できないけれど、阿部ちゃんの隣の席へ腰を下ろした。鉄板を挟んで目の前には、店員がチャラ男になにか耳打ちしていた。

『……えっと、』

「まぁまぁ！とりあえずさ、三人が来る前にもんじゃ頼んだから～…っと、きたきた！ありがとうございまぁーす！」

私の心中なんかそっちのけで、チャラ男は鉄板の上でもんじゃをコネコネさせ始めた。

「なーにむくれてんだよ、お前の歓迎会だぞ？」

『……いや別に、歓迎会頼んでませんけど』

「せっかく二人も呼んでやってんだからさぁ、不機嫌オーラダダ漏れ。隠せよ」

その言葉でさらにむっとする。

誰が好き好んで知らない二人に歓迎されなくてはいけないのだ。

とりあえず、私は早く家に戻りたい。

『そろそろ部屋の鍵をください。おばあさんから預かってるんですよね？』

「うん。ホラ」

といいながら、私の目の前にかざす。

奪おうとすると、直ぐに引っ込められてしまった。

「まだだめ」

.→←.