オレとオマエ、睨み合い中。【青】 (ページ23)

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田「へぇ、そんな転校多かったんだ？」

『うん。だからココに住んでた期間も長くはなくて…』

初出勤の夜。

"せっかくお隣なんだから仲良くなろうの会"という名目の元、二人で居酒屋に入った。

年齢を明かせば、彼は案の定私より二歳年下で…

田「え、俺ほんとに…え？まじで見えない」

『ありがとうございます？』

田「ははっ、なんで疑問形なの？…俺敬語の方がいいかな」

『いやいやっ！ここで働くのは田中さんの方が長いので』

田「じゃーAちゃんも敬語やめよ？あと俺のことは樹くんって呼んでよ」

戸惑いながら名前を復唱すると、満足そうに笑みを浮かべていた。

話は積もり、私の過去の話になって今に至る。

田「そっかぁ。あ、ちなみに俺は雪森町出身だよ」

『えっ、そうなの！？』

田「多分Aちゃんよりここら辺のこと知ってると思うしさ、休日にでもオススメのお店一緒に行こうよ！

つっても、ここら辺あんまりでっけぇのとかないけど」

笑いながら頷くと、「デートの約束ゲット～」なんて言いながら指をひらひらさせている。

すごい、誘い方がスマートすぎる……これが爆モテの理由か…

そう思いながら、頼んだ生ビールを喉に流し込む。

･･･

田「Aちゃん、家どこ？送ってくよ」

『んぇ…そんなの悪い、よぉ…』

田「あー、もしかして久々に飲んだ？足ふらふらだよ？」

ははっと爽やかに笑う樹くんが、ぼやけて見える。

久しぶりに飲んだのは否定できない。久しぶりすぎて、多分飲む加減を誤った。

このまま事故に遭う可能性も少なくはないので、大人しく樹くんに送って貰うことにしよう。そう考えていると、どこかに入っているスマホから音がした。

＿＿＿＿彼からだ。

『ん…すまほ、』

田「電話？スマホここだよ」

と、私が手にしていたバッグからスマホを取り出そうとする彼を、慌てて止めた。

『まって！』

田「え？」

思わず声が大きくなり、樹くんも驚いて手を止めた。

『あ、……えと……？』

鳴り止まないコール音がやがて止まり、ふっかからの電話に出そびれてしまったということを、お酒でなかなか回らない頭で考えた。

田「ごめん！言えない事情、な感じ？」

『言えない、わけじゃないけど、』

田「電話、かけ直さなくて大丈夫？」

『…………うん』

かけ直しても多分、出ないと思うから。

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